働き方

流通業界における唯一の公的資格「販売士」

投稿日:2016年2月5日 / by

小売業界や飲食業でも持っておきたい販売に関するプロ資格

販売士とは高い接客スキルや商品知識を身に付けた、いわば「モノを売るプロフェッショナル」である。

流通業界における顧客のあらゆるニーズに応えるべく「日本販売士協会」によって創設されたこの資格は、流通業におけるただ一つの資格として社会的な評価が高いのが特徴だ。昭和48年度に創設されたこの資格も、今もなお就職や転職に人気が高い資格の一つである。その長い歴史も信頼の一端を担っていると言えるだろう。店舗における接客技術だけにとどまらず、企画の立案や在庫管理の方法など実践向けの専門的な知識を得られる資格だ。

スーパーや百貨店の販売員として働きたい人にはもちろんのこと、経営管理やマーケティングに関する高度な専門知識を得たい人まで、サービス業や流通業界を目指している人にもおすすめしたい資格である。既に管理職や小売店の店長として働いている人も、自身のスキルアップのために取得を狙ってみてはいかがだろうか。

販売のプロたる「販売士」に求められるのは、豊富な商品知識や集客技術を駆使し、多様化・高度化する消費者のニーズを的確に捉え、満足いくサービスを提供することです。また、商品の仕入れや販売方法、物流の仕組みなど効率的、効果的にすることもできます。

販売士資格のレベル

1級

経営に関する高い知識を有した小売店の店長、および中小小売業の経営者レベルの試験である。試験科目にはマーケティングや経営管理のほか、店舗を運営するスタッフの配置や基本行動の手順などストアオペレーションに関する難度の高い問題が出題される。店舗経営の根幹を担う部分が多く、小売業界では販売士試験の1級合格を店長昇格の条件として定めている場合も存在する。

2級

販売技術に関する専門的な技能を備えた小売店の売場主任や部課長など管理者レベルの試験だ。販売促進企画の立案や部下の指導方法のような現場管理を担う人が備えておきたい知識が求められる。こちらも1級と試験科目は同一だが、難易度や試験時間の配分が若干異なっている。

3級

販売員としての基本的な知識と技能を身に着けた売場担当者レベルの試験である。店舗運営の基本的な仕組みや接客に関する問題が出題されるため、一般企業の営業担当者が取得を狙うケースも少なくない。社員教育の一環として取得を奨励する企業もあり、3つの階級の中でも最も受験者数が多いのが特徴だ。小売業に携わる人のほか、就職に役立てるために10代の学生に特に人気が高い。

階級も受験資格はなく誰でも好きなレベルを受験することができるため、自信がある人は高い階級からチャレンジをしてもよいだろう。また販売士の試験には5年間の有効期限が設けられており、5年ごとに講習会で資格免許の更新しなければならないため注意が必要だ。

※平成27年度からのリテールマーケティング(販売士)検定試験制度の改定について
検定試験の名称を、修得できる知識や実務能力をより的確に表すために「リテールマーケティング(販売士)検定試験」に変更されましたが、合格者の称号は「販売士」のままです。

販売士資格の試験科目とは

2級および3級の試験は、「小売業の類型」「マーチャンダイジング」「ストアオペレーション」「マーケティング」「販売・経営管理」の5科目で構成。筆記試験は全科目平均で7割以上正解し、かつ1科目ごとの得点が5割の正解率であることが合格の条件となっています。また1級の試験では他の級と違い、記述式の問題が出題されています(3級と2級の解答記入はマークシート方式)。合格科目保留制度も設けられています。

試験合格率(平成26年度、27年度実施)


平成27年 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率
3級 10,830 10,010 4,506 45.0%
2級 8,431 7,532 4,084 54.2%
1級 1,292 1,012 289 28.6%

平成26年 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率
3級 13,028 12,034 7,720 64.2%
2級 10,569 9,483 4,705 49.6%
1級 1,169 929 206 22.2%

年度によって合格率は変動するが3級と2級は50%前後、1級は20%台を推移している。試験会場はいずれも全国の商工会議所が指定した会場で行われるが、階級によって試験日は異なるため注意が必要だ。都道府県別の試験申込方法や受付期間の詳しい情報は、以下の日本販売士教会のホームページを参照してほしい。

【一般社団法人 日本販売士教会】
(http://www.hanbaishi.com/index.html/)

先に紹介したように販売士は小売業や飲食業における昇進・昇格の条件として設けられていることが多く、推薦入試の基準や単位認定の対象としても利用されていることも少なくない。販売のプロを志す人はもちろんだが、既に接客や店舗管理などの業務に携わっている人もキャリアアップのためにより高い級位に挑戦してみてはいかがだろうか。

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