企業風土

ガレージにオフィスを構える個性派企業の働き方

投稿日:2014年2月3日 / by

ガレージに居を構えるクリエイティブクラスカンパニー

RIDE MEDIA&DESIGN株式会社
ride-workfloorRIDE MEDIA&DESIGN(株)は、個の能力を最大限に生かすことを念頭に置いて組織作りを行う。理想は“個が輝けるクリエイティブカンパニー”だ。しかし、組織作りにおいてゴールは存在しないもの。同社も発展途上の中、手探り状態で進んでいると言う。

現時点で同社がたどり着いた成果とは、同社のこれまでの道のりについて、そしてこれから目指すものについて取締役副社長・酒井新悟氏に話を訊いた。

“普通”の組織体制への疑問

“個を活かす”とは、企業にとって永遠の課題である。しかし一方で、現代は作業が形式化され、誰がこなしても同じ結果となる仕組みが完成している企業も多い。常に均一化されたパフォーマンスを発揮できるというメリットもあるため、これを良いとするか、悪いとするかは企業によって意見が分かれるところだろう。

RIDE MEDIA&DESIGN株式会社はこのような組織体制に疑問を投げかける。

設立メンバーのひとり、酒井氏は「特に、大企業などにおける“会社の仕事”は、全体を機能させる上では長所も多い反面、ひとり一人の働きがいを考えると疑問があります。先が見えてしまう年功序列、個人が会社の必要悪として雇われている状況、熱意に溢れた社員に活躍の場が回ってこない組織体制などは、改革しなければいけない部分です」と語る。

“個を活かす”組織へ

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いわゆる“会社の仕事”は、酒井氏が指摘するように、決まった枠組みにはめ込み、決まった作業をきっちりとこなすことが求められてしまう。

同社が組織作りの理想に掲げたのは、そうした無個性型とは対極の“個が輝けるクリエイティブクラスカンパニー”。理想的だが、極めて困難なテーマだ。ここに同社は、思想よりも実体重視で、果敢にアプローチした。

といっても難しいことはない。もともと酒井氏を含む設立メンバーは、10年以上のキャリアを持つ、クリエイター。それも、それぞれが十分フリーでもやっていけるほどの実力者揃い。こうした個のパワーが結集すれば、どんな組織になるのか…。現代表の「自分たちが完璧に魂を燃やせる会社をつくろう」という熱い言葉が、同社創設の原点にある。

「プロとして仕事をしてきた人間が集ってコミュニティ的な組織になれたらどんなことができるのか、その可能性にひかれましたね」と酒井氏は当時を振り返る。いわゆる大企業にありがちな均一化に対する疑問符は、同社のこれまでの道のりが間違っていないことを確信するからこそ、といえるだろう。

ride-officeクリエイター集団にとって、営業力は弱点となる。しかし、同社では現在、社員も会社も顧客もより良い形で結びつくことができているという。質の高いモノづくりができる環境を整えたことで、営業せずとも仕事の依頼が来る理想的な好循環を作り出すことができたのだ。

これはまさに、個の力が集まった結果の会社、という形の可能性が引き出された、同社のチャレンジに対する一つの答えといえるだろう。

趣味が高じてメディアに発展

現在、同社にはWEB、紙、リアルイベントのどの分野においても専門部署がある。常に個を輝かせることを考え、経営を進めてきた結果、自然に増加したものだ。象徴的なプロジェクトがある。キュレーション型WEBマガジン「箱庭」だ。

同社では仕事中もSNSでの個人の情報発信が許されているが、この中で、ある社員のキュレーションが面白く、ためになると評判になった。すぐにその社員を編集長に据え、誕生したのが「箱庭」というわけである。なんと現在、Facebookで3万5000人に支持され、リアルイベントやECサイトが立ち上がり、サイト名を冠した雑誌が出版されたり、と多角的な事業へと発展している。

「箱庭」の成功を受け、兄弟版の「BLANKET」も立ち上がった。今後はこれらの運営ノウハウを活かし、コンテンツマーケティング事業も展開するようだ。人材がいるから、事業が増え続ける。新たな、というよりも正しい組織のあり方なのだと思う。


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【オフィス紹介】
RIDE MEDIA&DESIGN株式会社は、ガレージを改造してオフィスにしてしまった会社。軒先には大量の自転車が置かれ、オフィスには薪やキャンプ用品が積み重ねられている。ガレージという空間にはしっくりくる光景だが、ここはオフィス。社員の嗜好がギュッと凝縮し、まるで秘密基地のような雰囲気だった。

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