職場で“立ち上がる”働き方が新しい
初のワークスタイル変革専門展示会は大盛況
職場に“立ち上がる”時代がやってくる。2014年7月16日、『第一回 ワークスタイル変革EXPO』(~18日:東京ビッグサイト)が開幕した。最先端のワークスタイル変革サービスが揃う中、瓦版が注目したのは「働く姿勢」に関するアイテムだ。
ワークスタイル変革を叫ぶトーンが日増しに高まる中、ついに専門の展示会が登場した。関連のセミナーは、急きょ会場を拡大し、2000人近くが集まる盛況ぶり。ビジネスパーソンの新しい働き方に対する高い関心が証明された格好だ。
出展企業は、大小500社(併催6展総計)にのぼり、市場もヒートアップしている。そこに集った製品・サービスは、時間と場所にとらわれない新しい働き方を実現する最先端のものがズラリ。特に目についたのは、リモートワークやペーパレスに関連する機器/サービスだ。場所にとらわれずに働く上で、ペーパレスは一心同体といえるだけに、当然といえば当然の流れといえる。
そうした中、瓦版ではあえて、アナログな視点で新たなワークスタイルの潮流を予測した。キーワードは「スタンディング」。従来の働き方の常識を覆す、「働く姿勢」を変革することで、生産性向上や創造力をアップすることも可能なだけに、今後、拡大することも十分に考えられる。
一押しは「立ちデスク」
働く姿勢を変革する本命アイテムは、「立ちデスク」。その名の通り、立って使える仕様のワーキングデスクだ。『エルゴトロン』の立ちデスクは、自在に高さ調整可能な座位―立位両用で、使い勝手にすぐれる。前面にモニター、下部に本体を設置でき、省スペースという点もグッドだ。日本ではシネックスインフォテック(株)などが正規代理店となっている。実勢価格は10万円前後。
この立ちデスク、日本ではまだあまりなじみがないが、北欧では導入率7割以上といわれ、昨今は欧米でも拡大傾向にある。なにがすぐれるのか。まずは、集中力が高まる。腰痛に悩まされない。効率的にスペースを活用できる…など多くのメリットがある。
立ちデスクを使いたくなるような、恐ろしいデータもある。座った時間が長いほど、各種疾病リスクが高い、という研究報告がアメリカで行われているのだ。6時間以上座っている場合には、死亡率がそうでない人の4割増という報告まである。こうしたリスクを考慮してか、立ちデスクに電動ウォーカーを組み合わせた製品も販売されている。
いまのところ日本では、学校や医療機関で使われている程度だが、ワークスタイル変革の流れの中で、オフィスでも活用されるシーンが今後増えていくことは間違いないだろう。シネックスインフォテックでもまだ企業からの大きな動きはないというものの、引き合いは増えており、関心は確実に高まっていると話す。
ダラダラ会議は立ち会議で撲滅
立ち作業の対抗は、「立ち会議」。ダラダラ会議撲滅に、先進企業では導入事例が増加傾向にあるが、まだほんの一部に過ぎない。そうした中、手軽に効果的な立ち会議スペースを創出するアイテムが登場した。インターマン(株)の「Bodyphon」(参考販売価格=55万円・税抜)だ。同製品は、防音効果を含む音環境を快適にするブースで、2,3人での立ち会議やテレビ電話会議用のブースとしてオフィスシーンにマッチする。
立ち会議については、導入により時間を75%削減し、利益を3倍にアップさせた企業もあるという優れた成果の報告もあり、長時間労働に悩む企業にとって、一挙両得なアイテムといえそうだ。
ICTを活用し、時間と場所に縛られない働き方へのシフトが、ワークスタイル変革の大きな枠組みだが、従来の働き方の中に、ちょっとした変化を持ち込むだけでも劇的に作業効率をアップしたり、アイディア創出を促進することは可能だ。職場で“立ち上がる”。もたらされるメリットを考えても、イスに座って仕事をするという常識を覆し、立ってデスクワークにあたることが珍しくない時代がやってくる日もそう遠くはないかもしれない…。
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