現在も進化し続けるタイムレコーダー

タイムレコーダーは、現在も進化を続けている

勤怠管理ははじめ、当然手書きの帳簿で行われていた。機械がなかった時代は、手書きでの管理が面倒で煩雑になったとしてもそれが必然だったのだ。この連載では勤怠管理における歴史を紹介してきているが、例えば江戸時代にはすでに呉服店である三井越後屋において勤怠管理がされていた(江戸時代に勤怠管理がされていた例は珍しいが)。

勤怠管理はそのころから現在まで残り、そのためのツールは絶えず改良が重ねられ続けてきた。はじめは時刻のみを紙テープに印刷するだけだったものから、いまや指紋認証や静脈認証で勤怠管理できるタイムレコーダーが誕生している。

このような急速な進化には理由がある。それは、勤怠管理それ自体とタイムレコーダーの関係は、互いを進化させるためのものであり続けているからだ。例えば勤怠管理の形が変わることで、タイムレコーダーはそれに合わせて機能を追加・変更していく。あるいは、タイムレコーダーが進化すれば、それに応じて勤怠管理は複雑・多様な形での運用が可能となる。

企業が取り組むワーク・ライフ・バランスの推進

これから主流となる勤怠管理・およびタイムレコーダーは、「ワーク・ライフ・バランス」を重視したものとなっていくのではないだろうか。

ワーク・ライフ・バランスは、ここ数年でよく耳にする言葉となった。ワーク・ライフ・バランスの意味とは、仕事と生活どちらもより良いバランスで過ごすこと。この考え方のもとでは、時間のバランスが仕事に傾きすぎるのも、生活に傾きすぎるのも良くないとされ、ワーク・ライフ・バランスを実現させることで両方をより充実させることができると考えられている。

日本においては、2007年に「官民トップ会議」で「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定された。官民トップ会議とは、関係閣僚・経済界・労働界・地方公共団体の代表等からなっている。

2010年には、ワーク・ライフ・バランスをより積極的に進めるために政労使トップによって新たに合意が結ばれた。「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」では、「国民運動を通じた気運の醸成」、「制度的枠組みの構築や環境整備」などの促進・支援策に積極的に取り組むとされている。

加えて2014年1月、安倍総理は「全ての女性が輝く社会」を目指すと明言した。すべての女性が輝く社会とは「女性が仕事においても生活においてもより輝くことができる社会」のこと。子育てや介護などに掛ける時間が多くても、並行して働くことができるような社会を作ろうとしているのだ。

これは勤怠管理にも大きな影響を及ぼすだろう。それぞれの会社には、よりフレキシブルで多様な働き方を社員に提供することが求められる。つまりは、それに合わせてタイムレコーダーの進化も求められるわけであり、実はすでにそのようなタイムレコーダーは発売されている。

ワーク・ライフ・バランスを考慮したタイムレコーダー

例えば、休暇管理・育児介護休業・短時間勤務などを管理・申請することができ、システム上で上司と社員が確認することができるのだ。このような短時間勤務やシフト変更への対応が厚くなっていることはもちろん、他にも研修プログラムの受講履歴やタスク工数の管理などできるものもある。

ではどうして「研修プログラムの受講履歴」や「タスク工数の管理」の機能がタイムレコーダーに加えられているのだろうか。それは、仕事の効率化に取り組むことも、ワーク・ライフ・バランスの推進にとって重要なことだから。

企業がワーク・ライフ・バランスを推進するとき、休暇の管理に注目されることが多い印象がある。しかしワーク・ライフ・バランスとは、仕事と生活の調和でありどちらにおいてもより充実した時間を過ごすことを目的として推進されている。つまりワーク・ライフ・バランスを推進するには、「どのようにして仕事を効率化させるか」という勤怠管理も必要となってくるというわけだ。

今後ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組む企業は、さらに増えていくだろうと予想される。それは同時に、各企業の勤怠管理は今よりさらに複雑になっていくということ。その場合、その複雑さを解決するための救世主はタイムレコーダーとなるのではないだろうか。

今後も進化し続けるタイムレコーダー

タイムレコーダーは今後も進化し続けると思われる。企業の勤怠管理が、現在も大きく変化していることを考えると当然の流れだろう。近い将来、もしかするとオフィスが存在しない企業がスタンダードになるかもしれないし、複数企業に在籍する人が増えるかもしれない。そのようになったときに、その勤怠管理をどのようにするかは企業にとっての大きな課題となるだろう。同時に、その課題を解決するためにまたタイムレコーダーは大きく進化するのだと考えられる。もはやタイムレコーダーは、給与計算をするためのみのツールではないのだ。

勤怠管理の歴史

江戸時代から存在した勤怠管理の方法とは
江戸時代に三井越後屋が築いた勤怠管理の方法
江戸時代における勤怠管理に使われていた「改勤帳」とは
タイムレコーダー登場の背景とは
タイムレコーダー進化の過程とは
・現在も進化し続けるタイムレコーダー

勤怠管理のメソッド

時代の流れによって変化していく勤怠管理の方法
ムダをどんどん省いた先にある勤怠管理システムとは

個人でも実践できる勤怠管理

時短!手間短!情報収集のメソッド
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