働き方

派遣社員は幸せになれるのか…

投稿日:2015年6月5日 / by

雇用シフト ~雇用流動化時代にフィットしたポスト正社員のカタチ~ 【その参】

正社員減少と派遣増加の憂うべき相関

detachmentバイトの正社員化が進むと、派遣や契約社員の存在価値にもその影響は波及する。“正社員”拡大により増大するコスト削減の弾力剤としての派遣や契約社員の役割が色濃くなるからだ。

派遣・契約社員には優秀な人材も少なくない。それでも社員登用の壁は高くそび立つ。それは、派遣・契約社員ほど人員調整に活用できる形態はないからだ。契約というドライな関係は、解雇しづらい日本においては、非常に都合がいい。優秀であれば、正社員登用してもよさそうだが、そうなると基本、コストが定年まで発生する。それを考えれば、簡単には、“一線”を超えることはできない…。

長らく、この派遣・契約の比率が上昇傾向にあるのは、企業が、長引く景気低迷の中で、いかに非正規を都合よく使っているかの証左といえる。頑張っても報われない派遣・契約社員。そのやり場のない鬱憤やストレスが、企業への報復として、ダメージを与える“事件”となって顕在することも増えているから穏やかでない。

派遣増と待遇改善は必須事項

食品への薬物混入事件や大規模な情報漏えいなど、昨今、社会を揺るがした事件の根っこに、派遣・契約社員が関与している例が多いのは、決して偶然ではないだろう。「待遇に不満があった」という言葉とともに語られる事例が多いことからも、非正規の置かれた厳しい状況が透けてみえる。

エン・ジャパンが実施した派遣に関する調査では、メリットの1位は「勤務地・曜日・時間などを選べること」となっている。自分の都合を優先できることが、その意思はともかく、派遣を選ぶ理由なのだろう。2015年まで4年連続で1位ということからも、そうしたスタイルが魅力になっていることがうかがえる。一方、デメリットのトップも「交通費、賞与がない」で4年連続。金銭面では不満を感じていることが浮き彫りになっている。

パートやアルバイトでのシフトが進んだように、企業が雇う人員全てを正社員にすればいい、という考えもあるかもしれない。だが、それは必ずしも全員が望まないことや、季節需要などがあることも考えると、ベストとはいえない。そうなると、正社員に準ずる形の派遣や契約社員が、“調整弁”として必然的に浮上してくる。昨今はさらに、この隙間を埋める、両者のいいとこ取りの様な形の契約形態も採用され始めている。(第4回に続く)

その弐→増殖する非正規→「正社員」の実態

その壱→正社員時代は終焉したのか

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