働き方

もう始まってるの? ストレスチェック制度ってどうなってるの

投稿日:2015年12月22日 / by

気になるストレスチェック制度の実状

従業員50 名以上の事業所に対し、ストレスチェックの実施を義務づける制度が12月にスタートした。企業が社員のメンタルケアに取り組むことで、健全な職場づくりを実現するのがその目的だ。関連のサービスも続々と登場し、盛り上がりを見せているが、肝心の認知度はいまひとつ。メンタルケアへの意識調査や百花繚乱のサービスなどから、その現状を探る。

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空気のように蔓延するストレス

まず、ストレスについて。職場に空気のように漂っているといっていいほど、当たり前のように存在するのがその実態といえるだろう。30代~40代のサラリーマンを対象にしたアンケート調査では、3割以上が“仕事うつ”を自覚、という結果も出ている。瓦版がユーザーを対象に行った調査では、「ストレスを抱えていますか」の質問に対し、あると回答した人が97%に及んだ。さらにその内、34%は「押しつぶされている」と深刻な状態であるとしている。ちなみに発散法で最も多かったのは、「思い切り寝る」、次いで「お酒を飲む」だった。

ストレスサインを見逃すな

ファッション・コスメ業界に特化した人材会社iDA が行った【メンタルヘルス・ストレスに関する調査】では、女性は、仕事の悩みを話す相手の1 位が「友人」39.3%、男性1 位が「同僚」(36.7%)だった。一方、「健康のために」となると女性は1位が「愚痴をため込まず出す」だったのに対し、男性では1位が「特に気を付けていない」と放置していることが明かになった。

メンタル不調関連の経済損失2兆7,000億円の試算も

こうしたことことからも、ストレスが当たり前のように職場に蔓延しているのは明らかなものの、その対策は不十分といわざる得ない状況にある。厚労省の試算では、自殺やうつ病による経済的損失が年間2兆7,000億とも弾かれている。とりわけ、3万人前後で推移する自殺者は社会的にも大きな問題だ。

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長年懸案とされながら、メンタルというナーバスな事案であるだけに、放置状態だったが、ようやく対策として、実施の義務付けが決まったのがストレスチェック制度。重苦しい職場問題に、ついに政府も切り込んだわけだが、その認知度は決して高くない。オフィスポプロジェクトが実施した最新の調査では認知率は29.2%。しかも、担当部門の人事・労務担当でさえ37%という状況だ。このままでは、実施してもとても機能するとは思えないのが実状といえるだろう。

関連サービスが続々登場

その一方で、関連サービスは新たに誕生した市場めがけて続々と誕生。早くも激戦状態となっている。目立つのは保険会社による支援サービス。損害保険ジャパン日本興亜は、企業向けの労働災害総合保険と団体長期障害所得補償保険の一部で、ストレスチェックを支援する無料サービスを提供。三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険も同様のサービス提供で追随している。企業の制度導入をスムースにすることを支援するのが表向きの理由だが、契約促進という狙いも見え隠れする。

FiNCが提供するのは、ストレスチェック制度に対応した法人向け新ウェルネス経営サービス。医師による面接指導など、同制度に対応したサービスを幅広く提供できるよう、全国37都道府県に1,000人以上の産業医/医師のネットワークをあわせて構築するなど、手厚いサポートを用意する。すべてを同社のシステム上で完結させることができるほか、集団分析についても各社の要望に合致したものが提供出来るのが特長となっている。

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人事・労務の総合コンサルタントの(株)ブレインコンサルティングオフィス(本社:東京都千代田区、代表取締役:北村 庄吾、以下 ブレイン)は、ストレスチェックの対応を迫られる企業の実務担当者に向けに、最新の法令に基づきストレスチェック制度に完全対応しながら、企業力を強化する総合的なメンタルヘルス対策・健康管理を可能にする規程や書式、従業員研修DVDなど必要となる一連のツールをパッケージ化した「ストレスチェック実務安心パック ~メンタルヘルス対策・健康診断から衛生委員会、不調者対応まで~」を販売する。この2つなどは、ストレスチェック制度の流れに便乗しつつも健康経営と結びついた、企業への総合的なヘルスケアサービスといえるだろう。

出張ヨガやマッサージも拡大基調

ヨーガ教室を運営する天素体流(テンスタイル)ヨーガ(熊本県熊本市、代表:山本朋慧、以下、当社)は、ストレスチェック義務化を受け、法人出張ヨーガサービスを本格展開する。「うつ病、精神疾患になる前の一時予防としてのメンタルヘルスケアへの関心が高まっていることを受け、企業からの問合せが増加した」こともあり、企業への出張サービスを強化した。その他にもリアル展開する整体やマッサージ事業者などが出張サービスを強化する動きもみられ、ストレスチェック制度に伴う対策サービスは様々な広がりをみせている。

ココが会議室であることを忘れてしまいそう…

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会社でマッサージが福利厚生の会社も

職場環境の整備によるメンタルヘルス対策支援サービスも登場している。USENが、2015年2月5日よりサービス開始している「こころの保健室」だ。ASPで提供され、個人ごとにIDが発行され、各自がストレスチェックなどセルチェックができる。パッケージには専門家監修のeラーニングも含まれ、マネージャーはもちろん各社員がヘルスケアに関する正しい知識の吸収をすることも可能。同社ではさらに2013年から、職場環境改善サービスとしてメンタルバランス・ミュージック「Sound Design for OFFICE」を提供。快適で働きやすい空間をデザインする音楽を「集中力向上」、「リラックス」、「リフレッシュ」、「気づき」の4つ機能に分け、働く人のストレス軽減や集中力向上をサポートする。

多彩な形で、続々と登場する関連サービス。その一方で、低空飛行の職場での関心度。この差が埋まるプロセスに、ストレスチェック制度浸透の課題とポイントがみえてきそうだ。もっとも、非常なナーバスな事案でもあるだけに、しっくりと職場のメンタルヘルス対策として浸透し、機能するまでには長い時間を要することになるだろう。

ストレスは感じたときに解消すべき動きをしよう

ストレスチェックが行われ、自らのストレスが明るみになって来たら、それをどのようにして解消するかを考えなければ、ストレスはたまる一方になってしまう。
ストレスと向き合い改善させたいのなら、こちらの記事を読んでみてはいかがだろうか。
仕事のストレスを解消する様々な方法

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