働き方

オウンドメディアで複業ワーカーが“営業活動”する新しい組織のカタチ

投稿日:2016年5月20日 / by 瓦版編集部

カタチは会社、中身は複業集団

会社が社員を抱えるのではなく、法人として営業の窓口になれば、企業は安心して仕事を発注できる。その構成メンバーが、フリーランス集団でも、だ。逆に個々に活躍するフリーランスが前面に出て、発注を求めても、なかなか思うようにはいかないだろう。フリーランスが珍しくなくなった今でも、日本では「信用」が仕事の依頼における大きなウエイトを占める。

プラス・ムーブメントは、法人と個人の間にあるこうした落差を、うまくエネルギーに転換し、会社の体をしながら、同時にフリーランスの自由さも持ち合わすことができる、半歩先をいく働き方に取り組んでいる。

フリーランスにとって、企業から仕事を受けづらいのはもはや宿命といえるボトルネックだ。紹介ベースならなんとか食いつなぐことは出来るだろう。それらが発展し、安定的な受注へとつながる可能性もあるかもしれない。だが、それはあくまで希望的観測に過ぎない。プラス・ムーブメントの脇村隆代表が考案した仕組みは、そうした個人が安心して働き続ける上で、極めて合理的に構築されている。一体どんなものなのか。

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オウンドメディア(中央)を核に各自が投稿者となり集客し、顧客を開拓する

「ギルドワークス事業部」と名付けられたその仕組みは、傘下にデザイン部、システム部、コンテンツマーケティング部、プロデュース部、バックオフィス部を持つ。まるで大企業の様な充実した陣容だが、各部に所属するメンバーには、ヒミツがある。実は、全員が「複業」なのだ。つまり、本業を別に持つ、各業務のスペシャリスト集団だ。ただし、事業部といってもオフィスは構えておらず、業務は専らリモートワークで行われる。各部門長の定例ミーティングはあるが、互いが顔合わせることは基本なく、バーチャル法人という方がしっくりくる。

「個人事業主として働いていたある時、過労で倒れてしまいました。その時思ったのです。このままでは、仕事に人生を奪われる、と。そこで、会社として私のところに来る仕事を他の誰かに分配できないかと考えました。常時、多様な人材が確保できていれば、個人では取り切れない、さまざまな案件もとれる。だからといって、固定費はかけたくない。そんな中、ひらめいたのが、オウンドメディアを活用した“営業”です。それを核に各メンバーと緩くつながり、自分のペースで活動してもらう。それがギルドワークス事業部です」と脇村代表は説明する。

少し補足しよう。各メンバーは、同社のオウンドメディアに各自の専門性を活かしたコンテンツを投稿する。そうやって、アクセスを集める。目的は見込み客の開拓だ。結果、サイト経由で案件受注となれば、事業部からメンバーが選抜され、業務がスタートする。ポイントは、あくまで発注につながったコンテンツを投稿したメンバー個人に利益が多めに流れるよう設計されている点だ。

“自家発電”の仕掛け満載のオウンドメディアが秘める可能性

脇村氏が解説する。「営業の核となるオウンドメディアですから、活性化しなければ意味がない。そのためには個人への利益還元を優先することが一番と考えました。書けば書くほど仕事につながるとなれば、自ずと投稿数も増加する。そうなれば、アクセス増へもつながる。もちろん、会社経由での受注もあるわけですが、その場合でもPV数に応じたレベニューシェアで公平に利益を分配します」。時間と場所に捉われず、コンテンツを投稿することがメンバーにとっての“営業活動”となり、その貢献度に応じて収益が増減する。放っていても回る、極めて合理的な“自家発電”といえるだろう。

アイディアは昨年の大みそかに降りてきたという脇村氏

アイディアは昨年の大みそかに降りてきたという脇村氏

もちろん、事業部のメンバーは、オウンドメディア以外に各自の活動の中でリアルに仕事を受注することも可能だ。実際、すでにそうした形でメンバーに仕事が割り振られた事例もある。個人がオウンドメディアを起点にバーチャルで事業部としてつながり、企業並みの力を持ち、受注を実現。しかも、個人で受注となった場合には、一切中抜きもない。思惑通り、オウンドメディアが強固な“営業力”をつければ、プロフェッショナルな複業ワーカーにとって、限りなく理想に近い、収益安定化の起点となりうる仕組みといえる。

生命線がオウンドメディアという点が、やや心細いところだが、メンバーにはプロブロガーも名を連ね、脇村氏も、原動力となるアクセス増に自信をみせる。そもそも、メンバーは本業を抱える複業ワーカーばかりなので、ピリピリすることなく、余裕を持って“営業活動”に取り組める点も、ポイントといえる。もちろん、決して片手間というわけではなく、脇村氏は、将来的にはこの事業部だけで生計を立てられるメンバーを増やしていくことも視野に入れる。

着々と土台固めを進める脇村代表の呼びかけに、ほとんどの人が前のめりになるという大好評な仕組み。メンバーになるには、過去にメンバーの誰かと取り引きしたことが条件となる。スキルだけでなく、誰か分からない人とは組まない点も、チーム力や信頼を担保する上で理にかなっている。事業部としての実績作りはこれからとなるが、今後の展開が、非常に興味深い取り組みだ。

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