働き方

いよいよ本格的に動き始めた働き方改革を加速する真のキーマンとは【瓦の目】

投稿日:2016年7月29日 / by

風雲急告げる働き方改革

7月下旬、厚労省の一室で歴史的な会合が幕を開けた。「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」を銘打たれたその集いには、さまざまな分野の有識者が顔を揃えた。塩崎厚労大臣は冒頭で、「働き方改革は最大のチャレンジ。労政審に捉われず、これまで以上に様々な分野の人が幅広く議論することが大切。新しい時代の政策決定を議論してほしい」と力強く宣言した。

2016年7月26日、厚労省省議室で

2016年7月26日、厚労省省議室で

翌日には経団連など60の経済団体が集い、職場環境改善をテーマにしたセミナーを開催。経営トップの明確な意志表明とリーダーシップの発揮、管理職によるマネジメントの点と自らの意識改革、など誰もがイキイキと働ける職場環境実現へ向けた取り組みなどが記された「経営トップによる働き方改革宣言」が採択された。

風雲急を告げる働き方改革。現場での動きは、5年ほど前からじわじわと広がっていたが、ここへきて点が線でつながり始め、大きなうねりへと発展しそうな勢いだ。背景には、アベノミクスがある。安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」実現に働き方改革は不可欠で、経済再生の重点課題にも据えられている。もはや、働き方変革は待ったなしなのだ。

働き方改革実現で重要なこと

製造業中心からの転換という産業構造の変化による労働時間ベースの評価の限界。共働きの標準化、定年制の事実上の消滅、非正規の増大という社会構造の変化--。労働環境が激変する中で、働き方だけが取り残された現状に充満するひずみは、労働者を直撃するだけでなく、企業業績にも暗い影を落とす。こうした中での改革には大きな地殻変動に伴うだけに、労働政策決定プロセスもこれまで通りではいかない。その楔となるのが、冒頭の有識者会議だ。

単に労組の問題では収まらない税と社会保障の問題。労働法に収まらない雇用形態をカバーする法整備、リモートワークに対応した新たな法整備…など、働き方改革を実現するためにクリアすべきハードルは高い。いますぐに改革が必要な分野もあり、スピード感も重要になる。冒頭の会議開催は、そこへ敢然と向う政府の意思表示ともいえる。

号令こそ発せられたが、実感のなかった働き方改革がいよいよ本格的に動き始めた真夏のニッポン。企業は、当たり前のように追随の姿勢を示すが、重要なのは、働く当事者の意識改革だ。上司に言われて渋々従うようでは、全く意味がない。自らがその必要性を感じながら、能動的にこのチャンスをフル活用しなければ、愚痴しか出てこないだろう。少なくとも、これまでの働き方でくたびれていたなら心機一転、イキイキ働ける努力を自ら進んですることが、希望を叶える一歩となるハズだ。

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