働き方

パラレルキャリア実践における意外な盲点とは

投稿日:2016年8月17日 / by

仕事の質なのか量なのか

パラレルキャリアを実践する上で、意外な盲点がある。それは報酬に関することだ。副業であれば、実践者が納得していればまだいい。だが、パラレルキャリアにおいては、本人もそうだが、受け入れる企業側も報酬額の確定が困難になる。なぜなら、複業実践者は優秀な人材である場合が多く、単純に時給換算というわけにもいかないからだ。

pararellmoney

本業で月収100万円稼ぐAさんが、複業を始めるとする。受け入れる側は、時間的制約のあるAさんの報酬を単純に、ジョインする日数で割って弾き出した。月の稼働日が10日だとすると報酬は月約33万円。これでもよさそうだが、本当にそうだろうか…。

なぜなら、優秀なAさんは、10日でも十分に一か月分、あるいはそれ以上の仕事をやり遂げる。それは量というよりも質に依るところが大きいからだ。そうなると、稼働日に関係なく、本業の評価同様の報酬を支払うのが、合理的ということになる。Aさんが受け入れ先にそれを要求することはないかもしれない。とはいえ、受け入れる側としては、アウトップットの部分だけをみれば、申し訳なく思っても不思議はない。

パラレルキャリア黎明期には、おそらくこうした問題が表面化することはないだろう。だが、実践者が増加し、人材の取り合いが激化してくれば、確実にぶち当たる壁といえる。そうなった時に、特に受け入れ側は真剣に報酬を考えることになるだろう。その時、単にライバルより高く、では健全なパラレルキャリアの広がりにはつながらない。

受け入れる側が目的を明確にすることが重要

重要なことは、受け入れる側がパラレルワーカーになにを求めるかだ。それさえはっきりしていれば、パラレルワーカーの本業を意識することなく、受け入れる側が純粋な価値として報酬を提示する文化が醸成されていくだろう。場合によっては、ライバル企業より報酬が低くても、パラレルワークの先として選択してもらえることもあるハズだ。逆に、オファー内容によっては高報酬でも断れるケースも出てこよう。

こうした文化が育まれれば、パラレルワーカーは健全なプロセスで自然に広がるだろう。さらに、受け入れる企業も自社がプロジェクトで何を目的としているのかを鮮明にする必要が生じ、必要な人材を戦略的に確保し、より質の高いアウトプットにつなげることが可能になるハズだ。

労働人口の減少で、日本の先行きは暗雲が垂れ込めているが、このようにパラレルキャリアが健全に発展することでむしろ、人材の最適化が実現し、労働の質が向上。企業も事業についてこれまで以上に真剣に向き合うことになり、結果的に日本のもつ潜在力が底上げされることにもつながっていくはずだ。

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