働き方

技術の進化は職を奪うのではなく、職への意識変革を起こす【瓦の目】

投稿日:2016年10月7日 / by

在宅勤務の広がりで起こった「すっぴん問題」

すっぴんでも化粧顔にみえるテレビ会議のシステムが開発されたそうだ。開発したのは大手化粧品メーカー。在宅勤務の女性社員が、テレビ会議に出るために化粧をする負担を減らすのが目的だ。テクノロジーの進化で、在宅で仕事が可能になったメリットの中にある“デメリット”を、さらに技術で解消するというのは、いささか間抜けな印象だ。

ceatec

家電・ITの見本市として揺るぎない地位を確立する「CEATECジャパン」。国内家電業界の低迷もあり、昨今は勢いも失速気味だったが、今回からIoTを前面に出し、復調を図った。斜陽の国内家電業界もネットとつながることで、その存在意義が一変。人の生活を便利にするだけでなく、あらゆる行動データを解析し、可視化。家電は、行動や生活の最適化や改善につなげる“デバイス”としての役割を担いつつある。

電子レンジに語りかければ、冷蔵庫のデータと紐づき、献立を提案。高齢者や障害者が排泄すれば、ベッドに敷いたセンサーが検知し告知。ドアノブに触れるだけで本人認証が行われ、鍵が開くシステムなど、豊かな社会を実現するテクノロジーが多数展示された。もう数年もすれば、家庭でも職場でも、従来のシーンを一変させる技術革新の波が押し寄せていることを実感させるに十分の内容だった。

人工知能はヒトの能力の最大化に貢献する技術革新でもある

冒頭の化粧をしているように見える技術。快適になった働き方の不便解消を目的に生まれたシステムとのことだが、テクノロジーの進化は、例えば職場では従来の職を奪う勢いで進んでいる。主役となるのは人工知能(AI)だ。あらゆるデータが家電やウエアラブルデバイスなどを通じ吸い上げられ、AIによって解析される。その判断力は、人間をはるかに上回る。経営判断に活用する動きもあるほどだ。そんなAIが主役に躍り出る頃には、在宅勤務の意味すら変わっているだろう。

すっぴんを気にする以前にアバターが会議に出席し、本人の思考を解析した上で、ベストの対応をする。そもそも、会議も意見さえ出しておけば、AIが過去のデータや実績から最適解を導き出すスタイルになるかもしれない…。決して、その脅威を煽っているワケではない。むしろ、テクノロジーによって、社会は限りなく快適になる、ということだ。そんな思いを巡らせながら「CEATEC」会場を後にした矢先に、とあるメディアで「すっぴん問題」に遭遇したので、思わず吹いてしまった次第だ。

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