働き方

理想の移住を後悔に終わらせないための5つのヒント

投稿日:2016年10月21日 / by

 活発化する移住ムーブの落とし穴にハマらないために

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地方移住の機運が高まっている。人口減少が深刻な地方自治体のニーズ、地方創生に注力する政府、ビジネスパーソンの価値観の多様化などが絡み合い、地方移住を実現する環境が整備されつつあることなどが追い風になっている。だが、都心での生活に疲弊したビジネスパーソンにとって、地方は必ずしも楽園ではない。現地に溶け込み、十分な収入を確保し、幸せな地方ライフを満喫するには、それなりの覚悟と準備が必要だ。どうすれば、移住希望者が、思惑通りの移住を実現できるのか。5つのヒントを提示する。

なぜ移住したいのか考える

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ビジネスパーソンが移住を考える理由はさまざまだ。都会に疲れた、生まれ育った田舎のようなところが性に合っている、仕事柄場所に捉われる必要がない…。どんな理由であれ、そこにしっかりとした哲学がなければ、遅かれ早かれ、移住はとん挫するだろう。都会の便利さを捨て、職の選択肢が限られた地域を拠点にするには相当な覚悟が必要であることを肝に銘じておく必要がある。

収入源を2つ以上もつ

岩手・八幡平でスタートしたさすらいワークではりんどうの収穫体験などが参加条件となっている。

岩手・八幡平でスタートしたさすらいワークではりんどうの収穫体験などが参加条件となっている。

例えばライターが過疎地に移住したとする。仕事をする分にはネットのやりとりで事足りるため問題ないが、よほどの実力がなければ食っていけるだけの収入はないハズだ。だからこそ、リスクヘッジのために、本業プラスアルファのスキル確保は必須と思っておいた方がいい。もっとも、なくても心配する必要はない。職を選ばなければ、現地には何らかの仕事はある。なにせ人がいないのだから。必要なのは覚悟だ。

やりたいことで選ばない

職人になるために地方移住をする、というのがその目的だとしよう。とても素晴らしいことだが、もしもうまくいかなった時、どうするのか。十分な技能がない状態で乗り込んでいるとすれば、潰しは効かない。なにより、大きな目的を失った状態で、都会の様な活力のない土地で巻き返しをするエネルギーがわき上がるのか…。もともとある程度の技能がある場合を除けば、やりたいことだけで移住を選択するのは無謀と心得ておくべきだ。

土地との相性を重視する

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最も重要なのがコレ。透き通るようなマリンブルーの海、緑がまばゆい山々、夜は満天の星空…。都会の生活が長い人にとって、地方の自然は本当にまぶしく、魅力的だ。だが、旅行で行くならまだしも、そこに骨をうずめるとなった時、本当にいつまでもそんな感動をし続けられるだろうか。風習の違う地元の住民とうまくやっていけるのだろうか。雪国の場合、冬の厳しさを理解できているのか…。理想が高いほど、現実とのギャップに苦しめられる。安易な移住決断は確実に後悔のもとになる。

実際に移住してみる

岩手・八幡平のさすらいワークでは、長期の滞在でも宿泊費は1万でOK

岩手・八幡平へのさすらいワークでは、長期の滞在でも宿泊費は1万でOK

特に3と4に関わることだが、地方移住を検討する上で最も効果的なのは、実際に移住してみることだ。「確かにそうだが、費用がかかるし簡単でない」。そんな声が聞こえてきそうだが、昨今は、便利な取り組みが揃っている。

地方創生事業にも力を入れるランサーズ。移住担当の鈴木氏が現状と成功へのヒントを語ってくれた

地方創生事業にも力を入れるランサーズ。移住担当の鈴木氏が現状と成功へのヒントを語ってくれた

ランサーズの「さすらいワーク」は、まさに移住検討者にうってつけの取り組みといえる。フリーランスが、移住検討地へ短期滞在。地域を体感し、住民とふれあい、交流を育める。10月中旬スタートの岩手・八幡平では、自治体の協力もあり、宿泊費用がなんと1万円(基本1週間程度)で済む。加えて、現地での農家や酪農などの作業サポートが参加条件に組み込まれている点も見逃せない。「地域の人とのリアルな交流を育んていただくと同時に、本業プラスαの職業の可能性も模索いただくためです」(ランサーズ)と移住サポートにも力を入れる同社ならではの気の利いた内容となっている。こうした移住体験は、ビズリーチなども行っており、移住を検討する人はぜひ利用した方がいい。


まとめ

ランサーズが実施したフリーランスの移住に対する意識調査では8割が前向きと回答。内閣府が調査した会社員対象では移住に前向きは4割にとどまっていた。この2つ結果からみえてくるのは、多くのビジネスパーソンが移住に前向きである一方、その障壁として「安定」がそびえ立つことがうかがえる結果といえる。安定とはもちろん、生活の安定。仕事があり、収入があり、住まいがある。この3つが確保されなければ、移住の結末は悲しいもになりかねない…。幸い、地域の県外人材誘致熱は非常に高まっている。だが、人口減少の影響は重く、移住に対する期待値は高い。そのギャップが大きければ、フィットは難しく、移住は波及効果でなく悲劇を生みかねない。転職が、仕事内容や待遇をメインに見極めるものだとすれば、移住は生活も含めた人生の大きな部分も含めた判断が必要となる。その点をしっかり認識しておくことが、移住で後悔しないための重要なポイントといえるだろう。

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