働き方

クラウドワークスがAIとの融合路線へ進む狙いとは

投稿日:2016年11月15日 / by

AI・ロボットとの共存で進める「働き方革命」

(株)クラウドワークス(東京都渋谷区、吉田浩一郎社長)が、AI・ロボットとの共存路線で「働き方革命」を前進させる。8月にクラウドワーカー100万人を突破し、新しい働き方へのシフトを加速させる同社。さらなる躍進の触媒として目を付けたのがAIだ。その狙いはどこにあるのか--。

2016年9月期決算報告する吉田社長

2016年9月期決算報告する吉田社長

正社員比率が過半数を割る中で、時間と場所に縛られない自由な働き方を次代のスタンダードにすべく、次々と新サービスを展開する同社。次なる一手は、AIとの共存だ。AIを人から職を奪う悪者とみる向きもあるが、同社はあくまでも社会を豊かにするテクノロジーの進化というスタンスだ。

「働き方革命とはヒトがワクワクしながら働ける未来。好きなことをしてストレスなく働ける世の中が理想だ。そう考えると、ロボットやAIにできる仕事は仕組み化し、ヒトにしかできない仕事を社会に提案。人にしかできない働き方を創出することが、働き方革命ということになる」と同社吉田社長は、働き方革命におけるAIとヒトの関係性を解説した。

この考え方をベースに、同社は今後、AIとの共存を含む、新事業を展開する。ひとつは、AIとそれに精通する人材を組み合わせた新しい業務プロセス開発とマネジメント。そして、効率化をメインとした、AI・ロボットを活用した業務のアウトソーシング事業だ。前者はまさにAIとの共存路線、後者は、AIおよびロボットによる単調業務の代替で、企業に人がやるべき仕事領域に注力できる環境を提供するサービスとなる。

すでにAI事業推進の先手は打っている。AI・機械学習と人力を併用した米国のマイクロタスク型のクラウドソーシングサービス「CrowdFlower」と2016年6月に事業提携。ベースは築いている。AIと人の組み合わせは、受注した案件の大幅な業務効率化にもつながり、労働集約型のクラウドソーシングそのものの変革も期待される。

 新事業を続々展開する背景

同社はその他、この日から個人のスキル売買マーケットプレイス「WoW!me(ワオミー)」を正式スタート。事務スタッフ向けのサービス強化のための新サービス「ビズアシスタントオンライン」の開始も発表した。さらに、子会社を設立し、投資育成事業へ参入するなど、クラウドソーシングから派生したサービス等を次々と打ち出し、飛躍への“武装”を強化している。

ワオミーアンバサダーに就任した各界のトップランナー(前列左から2人目は吉田社長)

ワオミーアンバサダーに就任した各界のトップランナー(前列左から2人目は吉田社長)

こうした展開の背景には、働き方革命の加速ももちろんあるが、ビジネスとしての成長鈍化という課題がある。この日報告された2016年9月期決算は、営業損益5億9300万円の赤字。黒字化を果たせなかった。2017年9月期も営業赤字4億9000万の見通しで、赤字脱却の出口が遠のいている。

新しい働き方を実践するクラウドワーカーが順調に増大する一方で、解消されない赤字体質は、クラウドワーカーがポスト正社員の雇用形態へ本格シフトするためにもクリアが必須の重要課題。それだけに、躍進へのアクセルを踏み込む同社経営陣の足にも自ずと力が入る。

日本に上陸し、一定の認知度を獲得したクラウドソーシングがいま、新しいワークスタイルとして定着し、ビジネス面でも大きく飛躍するための転換点を迎えている。

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