働き方

働き方用語の正しい読み方【勤務間インターバル規制】

投稿日:2016年11月19日 / by

インターバル規制は長時間労働是正に有効なのか

その名の通り、勤務と勤務の間にインターバルを設ける制度。目的は休息時間の確保だ。EU労働時間指令で24時間につき、最低連続11時間の休息を付与するとされていることから、「11時間」が目安とされている。これにより、1日の労働時間は13時間までとなる。加えて、1週48時間までの労働時間もセットで規制されている。

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昨今は長時間労働是正の声が強くなっている。それによる精神心疾患の罹患や過労自殺などが後を絶たないからだ。目先の利益追求のために、労働者をハードに働かせることは、結果的に企業の寿命を縮め、日本の国力の低迷にも直結する。単に、働く時間を短くするという物理的側面だけでなく、考え方も含めた抜本的な対策がされなければ、永遠に改善のチャンスを失いかねない状況にいま、日本は追いやられている。

こうした状況打開の有効策のひとつとして、インターバル規制が注目されている。その理由は、心労の元凶が休息がとれずに、心身を疲弊させる負のスパイラルに陥るケースが多いことにある。いくら長時間労働を規制で抑え込んでも、翌日に早朝出勤となれば、意味がない。ならば、長時間労働した場合、次の勤務まではしっかりと一定時間休息をとりなさい。そうした規制をかける方が労働者を守る観点でも有効という考えだ。

長時間労働に規制をかけ、罰則を設ける動きもあるが、それでもそこに休息の概念がなければ、労働者の心身の疲弊をなくすことにはつながらない。インターバル規制では例えば、深夜2時まで勤務したとする。その場合、規制が11時間に設定されていれば、労働者は13時以降の出社でOKとなる。もちろん、定時からの給与は支払われる。これまでなら、上司の計らいで、多少遅めの出社が黙認されたとしても、午後出社ということはないと考えるのが普通だった。

 休息を取るという概念を取りこむ重要性

現状では労働基準法第32条第36条、いわゆるサブロク協定で事実上、労働時間の上限は青天井になっている。まずはこの協定の見直しを含めた、長時間労働の上限規制を設けることが、対策の第一歩といえる。その上で、インターバル規制により、休息の取得を促すことが、現状の長時間労働常態化を改善する有効な突破口となりうるだろう。

ただし、労働時間に上限を設け、さらに勤務間にインターバルを設定するためには、実労働時間の把握が必要となる。そうでなければ、カタチだけの上限規制およびインターバル時間の設定となるからだ。そうなれば、これまでい以上に働いた時間の中身が問われることになり、ザックリとした時間枠の中で働いてきた日本の会社員には息苦しさを伴う可能性もある。単に残業に上限を設け、休息時間を確保するだけでは、ありがた迷惑で「必要ない」との声も挙がりかねない。

まだまだ少数派だが、日本でもインターバル規制の導入事例は少しずつ出始めている。KDDIでは就業規則では8時間、安全衛生規定では11時間の勤務間インターバルを設けている。社員からは「深夜残業後の早朝出勤はなかなか疲れが取れずきつかったが、導入後は職場全体でしっかり休もうとという意識が高まった」という声が挙がるなど、一定の成果が得られていることが報告されている。

インターバル規制は、長時間労働是正の対策として、働く時間に上限を設けることとの2択として考えるとおかしなことになる。そもそも、勤務間にインターバルを設けなければいけないという状況自体が、異様と考えるのが普通の感覚だ。それほどまでに、異常さが常態化している日本の労働環境の現状をまず、働く全ての人が自分事として認識し、その上で、健康な体があっての労働、という当たり前の感覚を取り戻すことが、最も理想的な落ち着きどころといえるだろう。

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