働き方

従業員の健康を経営と紐づける健康経営は利益につながるのか

投稿日:2016年11月28日 / by 瓦版編集部

健康経営が注目される理由とは

健康経営、ウエルネス経営というワードを頻繁に耳にした2016年。裏を返せば、企業の不健全な労働環境が問題視されることが多かったということでもある。長時間労働の是正も、結局は連日の残業による心身の衰弱を憂慮してのモノ。同じ文脈で、生産性の向上も叫ばれたが、こちらは脱ダラダラ残業を目指すための体質改善がその目的だ。

経営を健康になぞらえれば、経営者は頭脳。従業員はハートであり、手足。労働時間は活動時間。生産性は効率性だ。手足は、脳の指令を受け動く。適切な指令なら、スムースに効率よく動き続けられる。この状態が理想的だ。だが、理不尽な指令で長時間活動させられれば、やがて手足はうまく動かなくなり、ミスを連発。パーツだけでなく、ハートまで蝕まれてしまう…。

ウエルネス経営では、従業員を財産と考え、投資の観点で、その心身をケアする。そうやって人材を大切に扱うことで、職場が健全になり、やがて活力が生まれ、業績にも反映されると信じているからだ。当然、すぐには結果は出ない。だが、確実に得られるリターンもある。従業員が前向きになり、忠誠心が高まることだ。地味だが、人口減少時代においては、その価値は絶大だ。

初のウエルネスアワードを開催

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日本でウエルネス経営をけん引する健康サポート企業の(株)FiNCは、経営層にCWO(チーフ・ウェルネス・オフィサー)を設け、経営理念と従業員の健康を紐づけ、ウェルネス経営を実践している。そのFiNCがさきごろ、雑誌のForbes JAPANと共催で第一回となる「Wellness AWARD of the Year 2016」を開催した。健康的な習慣を送る人や従業員の心身の健康に向き合う組織が増える、といった健康である事の重要性が広く認知される事が、その目的だ。

「健康」をキーワードにさまざまな賞が設定され、厳正な審査を経て、全11の企業や個人が称えられた。個人健康部門を受賞したプロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎氏は、「元気の秘訣は目標を設定すること」とキッパリ。現在は、85歳での世界6位の高峰、チョ・オユー(8,201m)からの滑走を目指しているというという。個人サポート部門のアストロニア代表の白戸太郎氏は「スポーツには人を健康にする力がある」と明かし、現役のトライアスリートとして、今後、スポーツの魅力を存分に普及啓もうし、日本を元気にしていくことを宣言した。

ウエルネス経営部門で受賞した日本交通(株)の川鍋一郎会長は「タクシー業界は不健康のイメージが強いですが、FiNCと出会い、社員の健康維持に取り組めている。業績としての結果につながるのは3年、5年先かもしれないが、粘り強く続けていきたい」と、業界の健康意識の抜本改革に臨む覚悟を明かした。その他、各企業、個人が受賞し、それぞれ抱負を述べた。

長時間労働が問題視されるのは、なにも健康面だけの話ではない。とにかく利益を上げるという経営スタイルがフィットする時代を経ていま、しっかりと従業員の幸せも実現した上で成長することが求められる時代へとパラダイムがシフトしたのだ。売り上げだけを追求するなら、従業員は疲弊し、やがて使い捨てられる。そうではなく、いかに従業員のパフォーマンスを最大化し、その結果、利益向上にどう結び付けるか。成熟期を迎えた日本経済を生き抜く必須の経営スタイルが、従業員の健全な心身を原動力にして活力や吸引力を生み出す、持続可能な経営、それが「健康経営」の本質といっていいだろう。

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