働き方

非正規の待遇アップは本当に日本全体にとって恩恵なのか【瓦の目】

投稿日:2016年12月16日 / by

同一労働同一賃金は本当に良策なのか

同一労働同一賃金が実現へ向け着々と動いている。政府指針案では、非正規社員にも社員同様の業績連動型の賞与を払う、給与金額を直近の契約期間ベースにしないなど、これまでの問題点を埋める内容が盛り込まれている。

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あくまで基本は正社員の給与。そこに合わせていくのが、基本線のようだ。ということは、この案が採用され、晴れて正規/非正規間の賃金格差が是正されれば、人件費は高騰することになる。これまで不当に低賃金で使われてきた非正規の待遇を見直すのだから当然だ。

残業代を払わず働かせていた従業員に、改心してキチンと残業代を支払うようにするのに酷似しているといっていいだろう。つまり、このアクションの先にあるのは、賃金の高騰に留まらない物価の上昇だ。これまで、信じられない安値で製造・提供されてきた製品やサービスの“原資”が消滅するのだから、仕方がないだろう。

賃金格差の是正のしわ寄せで何が起こるのか

給与アップが叫ばれる一方で、なぜか物価も同時に上がることにはワキが甘い風潮がある。景気を循環させるために給与を上げるのは理にかなっている。しかし、同時に物価が上がれば財布のひもも固くなる。この当たり前の消費者心理を、意図的なのか社会全体がスルーしている気がしてならない。

非正規の待遇が上がることは、現在、それが増大傾向にあることを考えても、総合的にプラスであることは確かだろう。だがその分、正規社員の「安定」は揺らぐことになる。要するに、同一労働同一賃金は、働き方改革の側面では前進だが、景気浮揚の観点では後退につながる可能性があるということだ。真の意味で国民をハッピーにするためには根本的に景気を浮揚させるしかないが、現状では一挙両得は難しいだろう。

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