働き方

我が社でも働かない? サイボウズが複(副)業前提の採用をスタート

投稿日:2017年1月17日 / by

働き方変革企業が打ち出す新たな採用スタイル

ウチでも働いてみませんか。チームワーク向上支援ツールの開発・販売を手掛けるIT企業、サイボウズが、2017年1月17日より、「複業採用」をスタートした。所属企業に籍を残したまま同社でも働くという雇用形態での人材募集。働き方改革をけん引する同社が、従来の常識では考えれれない採用で、硬直した採用のカタチに変革の波を呼び込む――。

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副業が大いに注目を集めた2016年。その潮流に透かさず反応し、サイボウズが新たな採用スタイルを打ち出した。その名は「複(副)業採用」。副業や複業もすっかり知られるようになったが、企業側が最初から複業を前提に社員を募集するのはかなりユニークといえる。

「サイボウズは2012年より社員の複(副)業を認め、個人の自立と多様な働き方の実現を目指して 取り組みを続けてまいりました。政府の働き方改革が急速に進む中、世の中的にも複(副)業に対して前向きな流れが生じており、このタイミングを好機と捉えて『複業採用』として改めて打ち出すことに致しました」と同社。新しい働き方をけん引する企業だけに、その方面のフットワークはさすがだ。

それにしても、所属の会社がある人材に、複業の場として門戸を開くというのは、同社ならではといえるだろう。所属社員の複業を容認するのは、信頼関係を考えてもあり得る。だが、複業を入り口に外部から社員を雇用するとなると、リスクも伴う。もちろん、それが実現可能であることを審査で見極めるにせよ、組織のバランスを考えても安易にできるものではない。同社にはすでにそうした人材を受け入れる土壌ができていることが、実行の要因にあることは間違いない。

従来の働き方に地殻変動を起こす可能性も十分

もっとも、リスク以上に大きなメリットがあることは言うまでもない。どうしても欲しい優秀人材が、他社に在籍していれば、基本は諦めざる得ない。だが、「複業でOK」となれば話は別。当該者が所属企業と交渉する必要はあるが、却下すれば離職されるリスクもあり、容認せざるを得ない。同社にとっては、優秀な人材を確保する上で、かなり効果的な採用スタイルといえるだろう。

複業採用は、単なるユニーク採用に留まらないインパクトを社会に残す可能性もある。その理由は、採用条件に隠されている。そこには「就業中の会社等の規則において、複(副)業および当社での就業が可能であることを前提とする」とある。当然だろう。だが、見逃せないのは、対象が複業容認企業であるという点だ。現在はまだ少数派だが、今後、働く側からの交渉などによって、そうした企業が増大する可能性は高い。つまり、複業採用は、複業容認企業をアメーバ式に増殖させる効果があるということだ。

少子高齢化による人材不足が懸念される中、政府の旗振りもあり各企業は働き方改革を推し進めている。その根底には、老若男女が無理なく働き続けれる働き方の確立がある。複業でパラレルに働くスタイルは、そうした中でも優秀人材に限定的といえるが、今後、着実に増大していく働き方であることは間違いない。複業ワークが標準的になるその先には、企業間の壁の崩壊という次世代の会社の姿も透けてみえる。サイボウズのアクションで、2017年の働き方改革は、スタートから大きく弾みがつくことになりそうだ。

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