働き方

フリーランスが正社員に近づく、初のサービスが登場

投稿日:2017年4月26日 / by

国内初のフリーランス向け賠償責任保険が誕生

国内初のフリーランス向け賠償責任保険が誕生した。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「一般会員」に自動付帯する。万が一の際のフリーランスの業務過誤による賠償責任の補償を中心としたもので、フリーランスの負の部分を手厚く保証する内容となっている。

まさにフリーランスによるフリーランスための福利厚生だ。2017年年1月に設立された同協会は4月20日に「一般社団法人化」。それに伴い、2017年7月1日から、個人の「一般会員」を募集開始する。

一般会員の年会費は1万円。その特典として、「賠償責任保険」、福利厚生サービス「WELBOX」(提供会社:株式会社イーウェル)が自動付帯する。さらに任意加入の所得補償や、多様な事業支援・キャリア支援サービス優待を含む、「フリーランス協会員向けベネフィットプラン」が用意される。

注目は、フリーランスでは最も手薄だった補償の部分だ。会社員なら保証される業務上の賠償が自動付帯となることは、画期的といえるだろう。例えば情報漏えいや著作権侵害、納期遅延など、フリーランスは基本、全てを自己責任で負担を強いられていたが、こうしたリスクもしっかりカバーされる。

さらに任意加入の所得補償では、天災も含む業務上のケガなどで最長1年の補償があり、労災保険の補完が可能となる。協会会員は、個人契約の47.5%割安に加入できる。社会保障の薄さは、フリーランスだから仕方ないとされていた部分もあるが、会員登録することで正社員並みに充実することも可能になる。

ベネフィットプランについて解説する松井氏

同プランについて、提供する損保ジャパン日本興亜(株)企画開発部課長の松井成城氏は、次のように解説する。「働き方改革の観点から従来の日本型雇用システムだけでなく、兼業・副業やフリーランスのような柔軟な働き方が拡がっている。一方で、必要なサポートも多様化・複雑化し、社会の変化に伴い、セイフティネットとしての補償制度などのニーズが生じてきている。弊社は、フリーランス人材が健全かつ前向きに活躍できる土壌を作り、柔軟な働き方を望む方々の要望に応えていきたいと考えている」。

フリーランスのさらなる増大も

ランサーズの調査では、広義のフリーランスは、前年比5%増の1122万人。その規模は、さらに増大傾向で、減少傾向の正社員に迫る勢いだ。もはや社会でも、フリーランスをひとつの雇用形態として認知する必要性が出てきており、政府の働き方改革でも俎上に上がっている。同プランは、こうした潮流にいち早く対応した形で生まれたといえる。

協会の今後を語る平田代表理事

今回のベネフィットプランの募集は、まず7月からWarisやタスカジ、クリエイターズマッチ、ランサーズなどの登録ユーザー向けにテストリリース。2017年秋から、一般募集を開始する。ワンクッション置く点について、同協会代表理事の平田麻莉氏は「どれくらい募集が来るか分からないため」と話した。2017年度中に見込むのは入会1万人だが、協会発足当初のメルマガ会員は3日で1500人集まった実績もあり、待望論も多く、初動ではそれを大きく上回る可能性もある。

<ワーカーが主役のゆるやかでオープンなプラットフォーム>をその役割とする同協会は、コミュニティ形成やネットワーク支援などの互助の場づくりと認定制度やベネットプランの様な共助の仕組みづくりなどを担い、フリーランスの環境整備をワーカー目線で実現。個で活躍する上での負の部分を、プラットフォーム化によりバランスよく補完し、その発展を支援する。

フリーランスの仕事探しプラットフォームであるクラウドソーシングサービスが、フリーランスの“職場”になりつつある中で、同協会の存在はそうした方向性をうまく中和しつつ、働き方の新しいカタチのひとつとしてのフリーランスの地位向上を後押しする機能も併せ持つ。「なりたいけど不安」というフリーランス予備軍は相当数潜在しており、いよいよ本格発進した同協会が、そうした層の背中を押すことなどで、その増大傾向をさらに加速させそうだ。

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