働き方

最新技術の祭典からみえた人材流動化の予兆【瓦の目】

投稿日:2015年10月9日 / by

アジア最大級のIT・家電の見本市の“異変”からみえたもの

かつての勢いこそないがワクワク感は不変だ(千葉・幕張メッセ)

かつての勢いこそないがワクワク感は不変だ(千葉・幕張メッセ)

アジア最大級のIT(情報技術)・家電の見本市「シーテック2015」(2015年10月7日~10日)が開幕した。電機大手の撤退が続くなど、かつての勢いは衰えつつあるが、社会を変える最新テクノロジーが並ぶ会場のワクワク感は不変で、すぐそこにある新しい社会の側面が垣間見えた。

今年目立ったのはやはり「IoT」関連だ。もっとも、<モノのインターネット>といわれる「IoT」は、真新しい技術ではない。むしろ、既存の技術をインターネットと組み合わせ、より生活に溶け込んだ形でその恩恵を還元するというのが、その本質だ。

やはりキーワードは「IoT」

もはや技術の問題ではなくなりつつあるプロダクツの生み出し方

もはや技術の問題ではなくなりつつあるプロダクツの生み出し方

例えば家電なら、クラウドとつながったタッチパネルが、各自の食生活とマッチしたレシピを提案。いわゆるビッグデータと家電をインタ―ネットでつなぐことで、より付加価値のある“加工品”として、提供する。靴なら、埋め込まれたチップにより、履いている人の健康データ、さらには道路状況などを蓄積し、それをネットを介し、医療機関や役場へ送信することで、改善へつなげる、といった具合だ。

モノづくりにすぐれるといわる日本の技術はいまも錆びついていない。しかし、IoTという枠組みの中では、ただいいモノをつくれるというだけでは、不十分。その良さを最大限には生かせない。そのためには、凝り固まった思想や閉塞感はボトルネックでしかなく、柔軟でオープンな姿勢が求められる。そこでもたついていることが、日本が世界に遅れをとっている大きな要因だ。

会場内で行われた異質なイベントが意味する企業の未来

会場内のトークイベントでは「大企業とベンチャー」をテーマにしたセッションが行われていた。やや異質にもみえたが、IoTという文脈の中で、大企業が自社だけで革新を起こすことはもはや事実上不可能な状況にある。小さくても優れた技術や発想を持つ、ベンチャー企業との積極的な融合が、これからの時代、不可欠ということだ。

今回抜群の注目度だったシャープのロボホン

今回抜群の注目度だったシャープのロボホンも外部と提携で生まれた

IoTではさまざまな技術が、融合し、カタチになる。それは単にパーツを組み合わせるという感覚ではなく、まさに機能として、内部に溶け込ませるイメージだ。従って、完成品だけでなく、メーカーは規模に関係なく、さまざまなジャンルの企業と手を組み、まさにプロジェクトの名の下で、完全融合する必要がある。そこまで踏み込まなければ、本当の革新は生みだせないからだ。

シャープが披露したロボットと携帯電話を融合した「RoBoHoN」は、ロボット技術と携帯技術を融合した製品。その実用性はともかく、こうしたプロダクツには、大いなるロマンがある。企業間のライバル関係で切磋琢磨する時代は終わり、文字通り「共創」の時代に本格突入した。大手の撤退はむしろ、これまでは入れなかった場所に空席ができたと捉えるべきなのかもしれない。つまり、企業間の壁の崩壊や人材流動化が、これからどんどん加速する予兆ということだ。いつもと違う熱気にそう感じざる得ない2015年のシーテックだった。

 

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について