インタビュー

新しい価値を生み出す秋葉原発信のモノづくり拠点

投稿日:2015年2月5日 / by 瓦版編集部

DMM.make AKIBA 吉田賢造氏

DMM 3Dプリントから始まった「モノづくり」

dmm-yoshida-shiCMでも放映され話題になっているDMM.make AKIBA。モノづくりの発信地として、秋葉原に作られたこの場所では、一体どのようなことが行われているのであろうか。3DプリンターやCNCなど最新の機器を使用することで、できるモノづくりとは一体何なのだろうか。総支配人である吉田氏に話を伺った。

「もともと事業としてのモノづくりには注目していまして、一昨年ぐらいにMAKERSと呼ばれるような本が出できた影響もあり、ハードウェア(製品)を作っていく人々のベンチャーがこれからもっと出てくるのではないかと考えておりました。そういったベンチャー企業に対してのプラットフォームとして、またはインフラとしてDMMが提供できることはないかな?ということで、DMM.makeのサービスが生まれたのです。その第一弾がDMM.3Dプリントです。今では月に数千モデルを製作しお客さんに商品をお届けしております」

2013年7月にDMMは3Dプリントのサービスを開始した。データを納品すれば、DMM側が3Dプリントしお客さんに届けるという革新的なサービスである。このサービスの成功がDMMを次のシーンへと推し進める切掛けになったという。3Dプリンターを使用することによって、一般の人でも自分が欲しいモノや自分が考えたモノを自由に作れる時代がやってきたのだ。

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DMM.make AKIBAで行えること

「3Dプリントにてモノづくりの基盤を作った私たちは、次にリアルな『製品』を生み出す場を作ろうということで、DMM.make AKIBAという施設を作りました。こちらには3フロアありまして、まず『Base』といって打ち合わせやイベントなどを行うシェアオフィスとしての部屋がございます。こちらではモノづくりを行っている方の間で、打ち合わせをしたり情報共有をしたりしていただいております。『Hub』というのは、現在構築途中なのですが、モノづくりに対しての相談窓口のような役目を果たす場として提供しようと思っております。『Studio』というのは実際に手を動かして作業する作業場です。ここには3Dプリンター以外にも、工作機械とかそういった多種多様な機材を準備させていただいておりますので、実際に作り手の人が施設を利用して製品を作ってもらおうというところです」

秋葉原にある富士ソフト秋葉原ビルの10階から12階までの間にDMM.make AKIBAは入っている。12階に位置する『Base』ではシェアスペースの他にTeamRoomという個室も提供しているが、今のところすでに満室とのこと。TeamRoomの中では従業員数が2,3名の小さな会社が新しいモノづくりのために日々作業を行っている。他にも円卓のプレゼンルームやBase利用者専用のロッカーなども存在し、カフェスペースはたくさんの人でにぎわっていた。

many-tool10階に位置する『Studio』にはありとあらゆる部屋が存在し、それぞれの部屋でいろいろなものが作られているのを拝見することができた。電子基板をプリントする機械が置いてある部屋や、シルクスクリーンを作る部屋、ウェアラブルな機器を作るためにミシンやレーザープリンターが置いてある部屋、エアブラシで塗装を行う部屋などが存在し、ここでできないことは何もないと思わせるほどの充実ぶりである。

「DMM.make AKIBAのメインターゲットはハードウェアのスタートアップです。大企業では実現できない小さなことを、この施設から生み出していってほしいのです。ここで作り出すものは、ただのプロトタイプではありません。この場所で作り出されたものが、そのまま売り物になるかどうかもチェックできるように、ありとあらゆる機械を取り揃えています」吉田氏はそう言っていくつかの機械を紹介してくれた。

まずはモノづくりに必要な機械として、電動のこぎりや電動ドリル、研磨機、3Dスキャナ、他にもCNCと呼ばれる切削加工をするものや、レーザー加工機など、ありとあらゆる機械が揃っていた。中には危険を伴うカッターなども存在し、使用の際には立ち合いが必要であったり、資格を持つ人のみが使えたり、別途使用料金がかかったりと、安全には細かいところまで配慮された形で提供されている。

そして、吉田氏が話してくれていた製品の品質をチェックするための機械として、梱包テストをするための振動機や、寒暖の差に耐えられるかをチェックするもの、電波や電磁波の影響を調べるもの、水圧に耐えられるかを調べる機械などが置いてある。これらの機械を使うことで商品として発送や運搬するのに適しているかまで、このスタジオでテストすることができるのだ。

耐水試験マシーン

水深30mまで耐えられるかの試験が可能

振動測定器

運搬時の振動に耐えられるか測定

人と人、そしてそこから生まれるモノを繋ぐクラウドソーシングサービス

DMM.make AKIBAはさらにモノづくりを一般的なものにするために、2015年2月5日に新しくクラウドソーシングサービスをオープンさせた。モノづくりのアイディアを持った人と、それを製作するクリエイターを繋ぐパイプ役を担ったサービスである。

このサービスを利用することで、誰もがクリエイターになることができるし、誰でもクライアントとして仕事を依頼することができる。すでにモノづくりに対してのノウハウを持っているDMM.make AKIBAが仲介として入ることで、依頼内容などをチューニングし、仕事として成立させるのだ。

仲介を行うにあたって、クリエイターには審査基準を設け、製品のクオリティを確保し、クライアントにはアイディアの実現性を進言することが重要だという。
モノづくりのクラウドソーシングが始まることは、世の中にとってとても有益なことである。吉田氏は「特にハードウェアを製作するという点で、このサービスが幅広く利用されることを望んでいます」とDMM.make AKIBAのクラウドソーシングサービスについての想いを語ってくれた。

DMM.make AKIBAでは、他にもモノづくりログというクリエイターが発表する場としてのブログも展開しており、3DプリントをはじめDMM.make AKIBAで行えることの可能性を、一般の方でも探ることができるような工夫をしている。
3d-printer

3Dプリンターの課題

3Dプリンターと聴くと、やはり誰もがどんなものでも作れる時代になったという認識を持つことだろう。実際3Dの実現性については、3Dプリンターで作ったピザや、人工臓器などがニュースとして報道されているので、そう考えるのは至極当然のことだと言えよう。

今ではすでに家庭用の3Dプリンターなども売られており、3Dプリント自体は身近なものになりつつある。しかし、3Dプリンター自体が抱える問題というのも必ず存在する。

「モノを作るニーズは増えますし、実現できることも増えてはいくのですが、機械自体の進化が間に合っていません。今の技術では、「実際の製品」というものは作ることができません。今までのモノづくりが変わるとか、3Dプリンターで作られたものが、既存の何かにとって代わると言われるのですが、そのレベルにはまだ達していないのが現状です。そのため、一般の方が考える『3Dプリンターに対する期待』と『できあがってくるモノ』の間に違いが生じる可能性は高いです。我々としてはこの違いについて、もっと理解していただきたいのです。その違いをわかってこそ、生み出せるものもたくさんあります」と吉田氏。

実際に3Dプリンターを使ってみればわかることなのだが、世の中に溢れているモノそのものが、そのままできるわけではない。ところどころに凹凸があったり、できあがったものをニッパーで切り取ったり、作られたものを滑らかにするために研磨したりする必要もある。実際出来上がったものを拝見したが、製品としてではなく、製品を作る可能性としてと言っていた吉田氏の話もよく分かる。

その一方で、3Dプリンターで使用できる素材や、作ることができる造形の複雑さは進歩している。チタンの粉を焼き付けてオブジェクトを作ることもできるし、アクリル樹脂にて鮮やかな色を再現することも可能である。このことを踏まえた上で、新たな可能性を探っていくことが、それを利用するものの使命となっている。

モノづくりが世の中に与える無限の可能性

インターネットが普及し、誰もがいろいろな実現性を探りながら仕事ができる時代がやってきた。ウェブを利用したサービスは次々に生まれて、人々の生活を着実に豊かにしている。
それでは、そこから先に見える未来に必要なものは一体なんだろうか?

もともとデジタルコンテンツを販売していたDMMが出した答えの一つが、人に直接届く「モノづくり」への想いであった。3Dプリント事業から今回のクラウドソーシングサービスやコワーキングスペース、そしてプロダクト製品の製造補助といった事業に結びついている。

DMM.make AKIBAで生まれるモノは、今ここにない新しいモノである。人々のアイディアとモノを繋げるクラウドソーシングサービスも始まり、製品としての存在価値が個人レベルで生まれ、それがいろいろな人の元に届く。未来を面白くしていくための道具はここにすべて揃っている。
アイディアさえあれば実現できないことは何もない。DMM.make AKIBAは次の未来のために新たなサービスをこれからも作っていく。

エアブラシ

細かい塗装をするエアブラシ

DMM AKIBA BASE

シェアオフィスの個別スペース

UVプリンター

ソーシングルームにあるUV プリンター

STUDIO

STUDIOでは工具をその場で購入可能

3Dプリンターボール

3Dプリンターで作られた幾何学模様のボール

卓上3Dプリンター

卓上の3Dプリンターも完備

3D スキャナー

3Dスキャナー

5軸CNC

NC切削加工ができる機械


DMM.make AKIBA
hub-entrance
住所:東京都千代田区神田練塀町3
富士ソフト秋葉原ビル 10F/11F/12F

HP:https://akiba.dmm-make.com/

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