働き方

激動する就活戦線の裏にあるもの【瓦の目】

投稿日:2015年2月6日 / by

激動する人と企業の関係性

一見不変だが水面下で大きくうごめく就活戦線

一見不変だが水面下で大きくうごめく就活戦線

日本の労働市場がギリギリと音を立て、うごめき始めている。高い学歴と面接受けが良ければ採用される時代は終焉。採用への重要なファクターが、学歴でもパーソナリティでもない、ホンモノの“個力”へと変わりつつある。

かつての新卒の就活は、上位校ではOB訪問などの囲い込み、一般学生はメガ就活サイトに登録し、面接へ、という流れが一般的だった。経済情勢による厳しさは相変わらずだが、大きくは今も変わっていないように見える。だが、水面下では、その流れに変調が起こっている。

面接を廃止する企業、メガ求人サイトと決別する企業、独自に採用ルートを開拓する企業…あえて効率を捨て、泥臭く、本当に欲しい人材を採りにかかる傾向が強まっている。理由はシンプルだ。本当に欲しい人材が、これまでの採用の仕組みでは採りづらくなっているからだ。

一定数の採用を行う場合、一律の基準でふるいにかけ、理念を刷り込んだ上で、研修すれば、「一丁上がり」だった。だが、グローバル化により、市場環境の変化が加速する中では、無個性な人材では対応が心もとない。戦力で考えれば、自立した人材でなければ、使い物にもならない。さらに、企業競争力をアップする上で必須となる、革新を呼び込むには多様な人材が求められる。

人口減少という根本的な労働力不足に加え、グローバル化による環境の激変で、企業における人材の重要性が急速に高まっているのだ。そうしたニーズに合わせ、求人サービスも変化が進む。よりきめ細かい対応を打ち出す人材企業、働き方にフォーカスした転職サイトの登場、代理人制を導入する就活サポート…など、求人側でも多様な人材と企業のマッチングを実現する様々なサービスが出はじめている。

歯車型から“個力”の時代へ

まるで、これまでの労働市場が、内側から悲鳴を上げ、轟音を立てながら、あるべき形へと変質していくかのようである。バブル期の人材がリストラの憂き目にあい、最近の学生が就活での苦難にあえぐ状態が、良くも悪くも労働市場で撹拌され、求職側も総じて企業選びに慎重になっているタイミングでもある。こうしたことも労働市場の変動に拍車をかけている。

企業側にとっては、規模や知名度、求職側にとっては学歴やパーソナリティが、これまでの就活における武器だった。だが、いまや東大卒がメガ企業を蹴って、ベンチャーを選択する時代。価値観は大きく変貌している。会社としてどこに向かい、社会に対し、どういった貢献をするのか、できるのか。抽象的でなく、より具体的なビジョンを打ち出せなければ、見向きもされない。結果、優秀な人材を集められなければ、どんどん力を失っていく。

<生き残れるのは変化に対応できるもの>。進化という言葉は響きがいいが、環境の変化を無視しては、単なる無謀だ。大きく変わりつつある労働市場にしっかりと目を向け、適切な対応をする。少なくともいま、従来型の就活スタイルでは、十分にリターンを得られなくっていることは確かだ。それを認識した上で、企業は強烈な独自性を、個人は強い個性を磨くことが、よりよい結果へ到達するために重要となる。時代は着実に“個力”が輝く方向へと進んでいる。多少の痛みは伴いそうだが、決して悪いことではない。

 

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