働き方

限定正社員は誰に恩恵があるのか

投稿日:2015年10月26日 / by

『新しい働き方の教科書』<Lesson12>

正社員のランクダウンか非正規のランクアップか…

bs15032916企業が正社員を抱えるのが厳しくなる中で、正社員と非正規の中間といえる契約形態が採用され始めている。「限定正社員」と呼ばれる社員のカタチだ。正社員的側面としては、雇用期限、福利厚生や待遇など、アルバイトしては勤務地や勤務時間、業務内容が限定的となる点が、その要素となっている。

設定された背景には、人口減少による人材不足をカバーする意味合いが強い。というのは、とりわけライフイベントの多い女性にとって、転勤やジョブローテンションは負担となる。それが原因で離職を余儀なくされることもある。だが、今後は労働力が不足する局面。それではあまりにもったいない。そこで、アルバイトのように労働時間や業務内容を限定し、かつ正社員に近い待遇で雇用することで安定的に人員を確保しようというわけだ。

人材不足が顕著なアパレルや飲食で導入するケースが多いことからも、その切実さが透けてみえる。限定ゆえに、懸念の声もある。つまり、あるエリア限定の正社員だった場合、そのエリアの店舗閉鎖されば解雇されるのではないか、という心配だ。こうしたケースはあり得るにしても、それが目的で設定されていない以上、現実にそうなった場合には、確実に善後策が講じられるだろう。

日本型ポスト正社員の有力候補

正社員からすればランクダウンにはなるものの、痛みは最小限に留まる限定正社員は、ポスト正社員のカタチとして最有力だ。その延長には、ジョブ型社員というスタイルも透けてみえる。これは、スキルベースの職選びだ。デザインやライティング、あるいはマーケティング、プログラミングなど、保有する技能をベースにイスを用意する。会社に入るの「就社」でなく、まさに職に就く「就職」ということになる。

ジョブ型社員は、自身のスキルが仕事と直結するだけにやりがいがキープされやすく、報酬もアウトプットに応じ決められるため、不公平を感じづらい、スペシャリストを養成できるため企業力がアップするなど、労使双方にメリットがある。生涯現役も現実味を帯びる中、欧米では一般的だが、終身雇用ではない。その分、転職の感覚が日本とは異なるが、そうした点をどう日本流にアレンジするかが、普及へのポイントとなりそうだ。

◇ポイント 正社員減少時代にぶれないための思考基準は、働く目的の明確化

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