働き方

“ロボット元年”だからこそ意識すべき豊かな会話力【瓦の目】

投稿日:2016年2月5日 / by

ロボットが浮き彫りにする日本人のコミュニケーション特性

ペッパーを供給するソフトバンクは、2016年を「スマートロボット元年」と位置づけた。その根拠は対応アプリの充実により、ビジネスユースでの多様な活用が可能になったからだ。あくまで、接客やカウンター誘導などがメインとなるが、春には試験的にロボットだけの店舗をオープンするなど、ペッパーの職場進出は、着実に浸透している。

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それが人間にとって脅威なのかはともかく、ペッパーの挙動は、日本人のあまりよくない部分を浮き彫りにするから興味深い。どういうことか説明しよう。日本人がペッパーと会話をすると、どうしても聞き間違いや聞き漏れが発生するせいもあり、間合いがズレ、会話がかみ合わない場面が出てくる。この時、第三者的には笑いが起こる和やかムードにみえるのだが、当の人間側は困惑した表情を見せる。

少しはKYなのも発想を膨らませるには必要

何とか会話を正しく進めようとする人間とお構いなしのペッパー。前者は、とにかく空気を読み、後者はあくまでマイペースで自分の主張を続ける。これはまさに外国語が不得手な日本人と外国人の議論によくみられる光景と似通っている。いつの間にか会話はペッパーのペースとなり、たいてい最後は丸く収まるのだが、第三者的にはペッパーのあっぱれな一本勝ちにみえる。

人工知能を搭載したロボットは、ビッグデータと紐づき、人間の知能をも凌駕するといわれる。一方で、挙動や言動は画一的でギコちないイメージはまだぬぐえない。だが、ペッパーと人間との会話では、人間がペッパーのペースに乱され、逆に頭が固くみえててしまうのだからなんとも皮肉だ。グローバル化とAIは、今後、日本の働き方にも大きな影響を与えることになるが、実は、空気を読み過ぎる日本人の特性自体が一番の問題に思えてくるのは気のせいではないだろう。

その意味で「スマートロボット元年」は、同時に、日本人が空気を読み過ぎる生真面目さから少しばかり脱却するいい意味の「KY化元年」とすべきなのかもしれない。そうでなければ、日本は、AIやグローバル化に飲み込まれる以前に、自滅する形でイノベーションを生み出せない発想貧困国に成り下がりかねないだろう。

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