働き方

ロボットが職場に進出すると時給は無意味になる【瓦の目】

投稿日:2015年6月19日 / by

ヒト型ロボットペッパーがついに発売開始!

robo01ロボットが家族の一員となる日がついに到来する。ソフトバンクが2015年6月20日、発売開始する「ペッパー」。121センチ29キロの人型ロボットは一体19万8,000円。WiFi環境で動作し、マイクやセンサーによって人の声色や表情を読み取り、人間とのコミュニケーションを実現する。<少し先の未来>として公開されているペッパー君のプロモーション映像では、一人暮らしの女性が悲しんでいるのを「いないいないバー」で励ましたり、家でパター練習をするお父さんを応援するシーンが収録されている。

ヒト型ロボットは、決して新しいわけではない。すでに、これまでもいろいろなタイプが発売されている。特にコミュニケーション型は、おもちゃレベルも含め、かなりの種類が家庭に入り込んでいる。だが、どれも位置づけとしては、ペットの延長レベル。ペッパー君の実力がどれほどのものかは、これからお手並み拝見となるが、ヒト型で室内を動き回り、人工知能を搭載したタイプとしては、初。それだけに、これまで以上に本格的なロボット時代到来を感じさせる。

こうしたロボットは、実際に家庭に入り込むことで、さらなる進化を果たすことになる。実験レベルでは予想もしなかった展開にどう反応するのか…。そうした、想定外のデータも蓄積していくことで、ペッパー君の行動バリエーションは増大し、より人間の輪に溶け込みやすく成長していく。どんどん各家庭の特性になじみ、一体となっていく過程は、ロボットが人間社会へ浸透していくことそのものとなるだろう。

ロボット時代と人間は職場で共存できるのか…

その延長線上には、「職場」への進出も当然ある。工場における工業機械と違い、オフィスにおける人間の代替としてのロボットの進出は、人口減時代の希望といえる。同時に、人から職を奪う敵にもなりうる。実際、ソフトバンクは、ペッパー君をティッシュ配りや受付業務に貸し出す「アルバイト派遣」を7月1日からスタートさせる。その際の時給は1,500円。業務内容からすればやや高めといえるだろう。それはともかく、ペッパー君は、何時間働いても不平も言わず、体力も消耗せず際限なく業務を続けられる。人の扱いに苦慮している経営者にとって、このエンドレスな勤勉さは、ある意味で“悪魔のささやき”に聞こえてくるだろう。

ペッパー君の派遣業務のひとつとして提案されているティッシュ配り。人間なら受け取ってもらえないことも多い、単調であまりやりがいのない仕事だが、愛嬌たっぷりのペッパー君なら、物珍しさも手伝い、受取率は格段に向上するだろう。メディアにも取り上げられ、話題にもなろう。そうすると、「時給1,500円」が格段に安く感じられるハズだ。ここに、ロボットの職場進出の恐ろしさがある。誰でもできるティッシュ配りの様な業務などは、確実にロボットに取って代わられ可能性がある。そして、それが少しづつ困難な作業へと進出してくるとやがて…。過去のロボット映画には悲劇的結末が多い。それは、支配する側の人間の防御反応が本能的に働くからではないだろうか。遠い先のことと思っていたロボット時代が、いよいよ始まった。

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