働き方用語の正しい読み方【副業】
企業が副業容認する理由とは
本業以外に収入を得る職業。公務員については、原則、禁止されている。民間の場合は、就業規則により、禁止されていることが多い。もっとも、法律上では基本、終業後や休日の副業は問題はないことになっている。
ロート製薬が、副職を認めたことで話題となったが、認めているのは、平日の終業後や土日祝日。その意味では、当たり前の権利を正式に認めただけにもみえる。だが、就業規則で禁止する副業は、その効力はともかく、基本、全面的なもので、その意義は大きい。しかも、アルバイトといった簡単なものだけでなく、他社への就業も認めるというもので、キャリア構築をサポートする意味合いも感じられるものとなっている。
企業が副業を認める狙いはシンプルだ。他社での経験を自社にフィードバックし、狭い視野でなく広い視野で意見することに期待し、斬新で革新的なサービスや開発につなげるためだ。社員にとっては、副収入を得ながらキャリアアップにつなげられ、共にウィンウィンが成立する。そうしたことから「専業禁止」を謳う企業もあるほどだ。
ポスト終身雇用の呼び水に
現状では、まだまだ副業を認めない企業が主流派だが、今後は、容認派が主流となることは確実だろう。背景には、不透明な景気情勢に加え、高齢化による人口減少がもたらす人材不足などがある。産業構造の変化により、多様な視点がなければ、市場優位性のあるサービスを生み出せなくなっていることも大きな要因だ。
企業はかつて、終業後の副業で本業がおろそかになり、さらに体調管理の面でも不安要素があることから、禁止していた側面があるが、もはや背に腹は代えられない状況にあるということだ。働き方の観点でみれば、将来的には、副業から複業へと進化し、会社員は2枚、3枚の名刺を持つことがスタンダードになる時代がそう遠くないうちに到来することになるだろう。それは、ポスト終身雇用のカタチであり、企業とその従業員の新しい関係性、「終身パートナー」といえるかもしれない。