働き方

瓦版選定 2015働き方10大トピックス【6位~10位】

投稿日:2015年12月24日 / by

2015年の働き方で注目集めたこと

◇6位から10位◇

2015年も残りわずかとなりました。働き方をテーマとするウエブマガジン「瓦版」では、今年も多くの関連トピックスを取り上げました。これまでは、変化への糸口だったようなことが、2015年はすっかり浸透し、広がりをみせる印象が強かったように思います。社会構造の変化とシンクロし、着実に働き方が次世代にフィットする形へとシフト。それが2015年の働き方を象徴するイメージではないでしょうか。

6位:企業間の壁崩壊

少し大げさな表現ですが、今年は、とりわけ企業間の壁、特に大企業とベンチャー企業の間にそびえたっていた壁が取り払われるような動きが目立ちました。分かりやすい事例としては、リクルートキャリアのサンカクが、誕生から1年を迎える中で、大企業とベンチャーのより手軽な橋渡しメディアとして機能。リアルでの接点の場を創るなど、グッと2つの距離を縮めました。

sankaku1

10月に誕生したローンディールのサービスは、さらに一歩進んだものでした。その名には“レンタル移籍”の意が込められていますが、主に大企業の人材をベンチャーへレンタル移籍させるプラットフォームを目指しています。本家サッカーのレンタル移籍では、すぐれた能力を持ちながらも、チーム事情でベンチを温める状況が続く選手を、必要とするチームへ貸し出し、才能を眠らせず、さらに伸ばすことを狙っています。まさにそうした人材の有効活用を後押しするのが、同サービスです。

そもそも、大企業は、ベンチャー企業を関連の投資会社で密かに支援していましたが、そうした水面下の動きにとどまらず、押し寄せる人材流動化の流れの中で、自然と壁が崩壊した様な印象もあります。これはまさに、社会構造が大きく変化していることを証明する、ハッキリとした前兆といえるでしょう。

大企業自らが、壁を取り払う動きも出始めています。富士ゼロックス(株)が、(株)株式会社A(エイス:本社:東京都港区、社長:⼭山田 歩・⼤大川 浩基)のサポートを受け、スタートしたオープンイノベーションプロジェクトです。

(株)A の共創ものづくりプラットフォーム「Wemake(ウィーメイク)」を活用した同プロジェクトは、Wemake を通じ、一般の消費者が持つ課題やアイディアを取り込むことを狙っています。単なるアイディア公募ではなく、しっかりと報酬の発生するスタイルで、もはやベンチャーどころか個人へその門戸を開く、未来を予見させる画期的な取り組みといえるでしょう。

bulding

大企業とベンチャー。企業と個人。両者の間に厳然と立ちはだかっていた壁は、もはやどんどん取り払われています。その背景には、急速に進む産業構造と市場ニーズの変化に、企業が独自では対応できなくなっていることがあります。多様性といえばそれまでですが、それを社内人材だけで補うのは不可能に近く、ならばと壁を取っ払う。それが、こうした動きの推進力となっているといえます。来年以降、この傾向はさらに加速し、正社員自体の概念も変えることへとつながっていくでしょう。

7位:地方創生連動型地方転職の活性化

地方創生元年となった2015年は、引っ張られるように地方転職へ向けた動きが目立つ1年となりました。当然助成金の影もも見え隠れしますが、転職者自身の価値観の変化も背景にあります。地方転職のあるイベントで転職希望者がこんな話をしていました。

「正直、首都圏はポストがあぶれている。地方ならまだ席に余裕がある。地方へ移住することへのアレルギーはない」。完全に都落ちの発想ですが、かつてのようにそこに後ろめたさや劣等感はみじんもありません。それは、すでに東京で一旗揚げる、という感覚が薄れ、高給よりやりがい、という価値観へとマインドシフトしていることも大きいといえるでしょう。

bizreach3

東京の仕事を地方へシェアする動きも目立ちました。これはクラウドソーシング事業者のアクションですが、正確にいえば、地方での雇用創出ということになるでしょう。なぜわざわざ、地方の人材に東京の仕事をシェアするのでしょうか。企業にとってはコスト削減になりますし、就業者にとっては、地方にいながら都心の仕事ができ、双方にメリットがあります。さらにある企業の担当者は「地方の人材の方が前のめり感が強い」と地方人材の熱の高さを評価します。

こうした流れが加速することで、東京の優秀な人材が地元へUターンし、リモートワークで仕事を続けるということも今後増えていくかもしれません。地方転職においては、理想と現実があり、必ずしもバラ色とはいえない面も多いですが、価値観の変化が根底にあり、以前のような中途半端な形での“地方転職”は減少し、地に足の着いたUIターンが、増大していきそうです。

8位:採用のさらなる深化

解禁日の前倒し、後ろ倒しが、毎年のように問題になる就活戦線。そうした不毛な議論とは別に、採用のスタイルはどんどん深化しています。理由は明白です。優秀な人材の確保こそ、企業が生き残るための重要課題、という認識が、昨今はより一層高まっているからです。

焼き肉就活や占い就活など、ユニークな就活が今年も目立ちました。これらは、話題性を狙うというよりも、より学生の素の部分を引きだすことを狙ってのもの。堅苦しい会議室の面接では、本当に欲しい人材を見極めることなどできません。現場で活躍できる発想や自分の頭で考えられる人材でなければ、もはや、これからの多様化時代に対応できません。

そうした中で来年以降、採用スタイルの本命に躍り出てきそうなのが、ダイレクトリクルーティングです。ダイレクトリクルーティングは、企業が主体的、能動的に採用活動を行うこと。中でもインターネットを通じ、企業が自ら直接声をかける手法が注目されています。海外では一般的ですが、日本ではまだ黎明期を抜けつつある段階です。直接声をかけることで、市場に埋もれている本当に欲しい人材にアプローチでき、ミスマッチを減らし、即戦力として採用できる点が、大きな魅力であり、これからの時代の採用にマッチしています。

diretrec

企業が目の色を変えているワケですから、求職者も自分の武器を磨き、それを積極的にアピールする必要があります。その点は大学の役割も含め、まだ遅れており、今後、模範的な面接突破塾のような講座にとって代わり、ホンモノのスキルを身に付ける、職能研磨スクールのようなサービスが、増殖していくかもしれません。

9位:ブラック企業撲滅加速

ブラック企業撲滅を政府が打ち出し迎えた2015年は、実際にABCマートが書類送検されるなど、悪質企業へ容赦ない制裁が課されました。2013年のブラック企業大賞企業のワタミの創業者が、法廷闘争で“敗北”を認める出来事もありました。

こうした動きが即、ブラック企業撲滅を一気に推し進めるとは思えませんが、ブラック企業=悪という概念はさらに強まり、そうした企業の人材流出や人材確保が困難になる流れはできあがりつつあります。ある意味では最大の制裁が課されるワケです。2015年は、そうした観点で、ブラック企業にとって、大きな転換点となる1年だったといえるでしょう。

10位:働く姿勢も深化

2015年は、新しい働き方の中でも、「働く姿勢」に変化がありました。じわじわと広がり始めている、自動昇降式のスタンディングデスクが、楽天のオフィス移転とともに一斉導入されたのです。立ったり座ったりしながら、業務を遂行できる同製品は、疲労を軽減する効果があるといわれ、作業効率アップにつながることも期待されています。

standing

座りっ放しでは、寿命が縮まるという報告もあり、今後は、どんな姿勢で働くのが、より新しい発想を生み出し、業務効率化につながるのか、といった部分にも働き方の変化が広がっていきそうです。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について