企業風土

専業禁止で副業を推奨する企業の真意

投稿日:2013年4月10日 / by 瓦版編集部

専業禁止を打ち出す本当の狙いとは

エンファクトリー看板
エンファクトリー株式会社

終身雇用制が崩れ、「忠誠」をベースにした従来の働き方では報われづらくなりつつある。では、一体どうすればいいのか。生粋のサラリーマン感覚では、その答えを見つけるのは困難に思える。しかし、そんな悩みが馬鹿らしくなるような働き方を推奨するユニークな会社がある。


禁止事項は“専業”

エンファクトリーホームページ

「専業禁止!」

エンファクトリーの企業ホームページの採用情報ページに飛ぶと、いきなり目を疑う文言が飛び込んでくる。「副業」の間違いじゃない。「専業」、つまり、会社の業務だけをこなすのは「厳禁」なのだ。

ページにはその理由について次のように記してある。「社内は自由な雰囲気で企画やアイデアを積極的に提案できることはもちろん、自分自身がローカルプレナーとなり、情熱を持って『縁』を作り出すために、“専業禁止!”を合言葉に、副業を推進しています」。

従来のサラリーマン的働き方とは、180度違うといっていい仰天発想。こっそり副業する人はどこの会社にもいるだろうが、会社として副業を全面解禁。それどころか推奨までする経営の真意はどこにあるのだろうか。同社加藤健太代表取締役を直撃した。

副業を推奨する本当の狙いとは

エンファクトリーについて語ってくれました「弊社のビジョンは、『その一歩を支援する、自己実現ターミナル』。専門家とユーザーをつなぐサイトやつくり手の商品とユーザーをつなぐサイトを軸に人と人、人ともの、人とことなど様々な縁を創り出し、その縁の力をベースにローカルプレナーの方々の支援に特化した事業展開を行っています。従って、我々自身もそうやって外で縁を創ってそれを自社に還元していければ、より事業促進につながると考えています」。

ローカルプレナーとは、「ローカル」と「アントレプレナー」を組み合わせた造語で、専門家や個人事業主はもちろん、企業に勤めながらセカンドジョブやNPO・ボランティアを通じ、自己実現に向けて個々人の意志で仕事や生活を推進する人々のこと。同社では、そうしたことの支援を主要な事業としながら、自社の社員にもローカルプレナーとしての活動を推奨しているのだ。

副業社員による弊害はないのか

本業と副業が生み出すシナジー実際、同社で副業としてECサイトを運営する従業員は、本業以上に稼いでいるという。防災アドバイザーの執行役員の場合は、自らが専門家として、自社サイトに登録し、メディアなど、各方面で活躍している。うらやましい限りだが、そうなると気になるのが、本業への負の影響だ。副業が忙しすぎて、本業がおろそかになる、副業が楽しすぎて、本業をリタイアする…そんな本末転倒はないのだろうか。

「ないですね。むしろ、副業をやる人はそもそも優秀でもあるわけですし、やっていることはオープンになっているので、本業に支障がでるようなら居心地がいいわけがありません。結果的に、残業は1~2割減りましたね。副業がメインになって辞める人間が出るとしたら、それでも構わない。でも、ウチでは卒業してもお互い利用し合う相利共生のフェローという形で協業する仕組みもあり、いい形でつながっています」と加藤社長は、平然としている。

副業推奨によるメリットとは

副業を推奨する同社だが、その分本業の報酬が少ない、ということはもちろんない。本業は本業として全力で、プラスα副業も全力で取り組む。結果的に、社員は、生きる力を身に付けることができ、自分のスキルをワンランクアップさせ、自分の価値を客観的に見る目も磨かれ、離脱の力学よりもむしろ、お互い同志のような感覚が芽生えるというから、面白い。

エンパワーメント

「従順」に代わる新しい評価基準

翻ってニッポンの会社の典型はどうだろうか。社員は、規約やルールでがんじがらめ。優秀の基準は「従順」というのが一般的、といっていいだろう。その結果、クリエイティブの芽は摘まれ、グローバル化の中で、あっという間に置き去りにされてしまった。加藤社長はいう。「縛ることで創造性は生まれない。社員が自立しないと、会社は硬直化するだけ。必要以上の日々の業務報告なんて時間の無駄。自立したプロが集まる場が会社であればいい。だから、個々が内外で存分にスキルを発揮していけばいいんです」。

右肩上がりの成長が終わり、成熟期に入った日本経済。そのひずみで終身雇用制の維持が難しくなり、「従順」であることが、報われづらくはなってきている。一方で、個人が稼ぐことの敷居は大きく下がっている。

「とはいってもやっぱり個人事業・フリーランスというのは厳しいですよ。でも、市場ニーズはより多様化し多品種少量へとシフトしている。売れる単位が小粒化している。小さなチームや個人が、効果的につながって、多様なニーズに応える形が主流になりつつある。私どもとしては、そうした中でしっかりと事業を回し、このやり方が優れているということを証明できればとは思っています」(加藤社長)。

従来の価値観が崩れ、いま、会社のあり方、個々人の働き方がターニングポイントに差し掛かっている。どう対処していけばいいのか。その答えは簡単にはみつかりそうにないが、だからこそ、従来と違うスタイルや発想には、大きなヒントが隠されていそうである――。


<企業が副業を禁ずる理由>
就業規則に副業禁止をうたう企業は多い。理由は、過重労働となり本業に支障をきたすことが一番。それ以外に、企業秘密漏えいリスク、また風評被害などにつながる可能性があるなどが考えられる。もちろん、そうしたことにつながるリスクがゼロなら、就業時間以外の時間であれば、自由といえる。ただし、所得が20万円を超える場合、確定申告が必要となるので、念頭に入れておく必要がある。

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