働き方

クラウドソーシングが直面する本質的課題

投稿日:2014年11月25日 / by 瓦版編集部

手軽すぎる弊害も

即換金できるポイント制で一層手軽

即換金できるポイント制で一層手軽

大手クラウドソーシングの多くは総合型で運営されている。一方で、専門分野に特化したタイプのクラウドソーシングも増殖している。記事作成、事務作業、デザイン…こうした特化型クラウドソーシングは、とりわけ受注側にその存在をより身近にする意味で貢献度があるといえる。

リアルワールドの「CROWD」は、誰でも簡単に行えるデータ入力や記事作成、チェック作業などに特化しており、「おしゃれで新しい内職」を謳う。1件当たり、数秒から数分の作業も多く、主婦が隙間時間を有効に活用でき、新たな雇用創出と潜在労働力の発掘にもつながっている。当然単価は低いが、それでも数をこなすことで小遣い程度は問題なく稼げる。月10万円以上を稼ぐワーカーもいるという。

時間と場所にとらわれず仕事ができるクラウドソーシングは、より手軽に仕事が行える環境を提供することで、社会に浮遊する空き時間を“換金”。新たな稼ぎ方を創出するメリットがある。だが、その対象がクリエイティブ系の場合、必ずしも手放しで喜べない問題を内包する。

例えば、ライティング業務の場合を考えてみよう。既知の情報を整理する程度なら「作業」といえるかもしれないが、ある程度の知識と資料で構成を組み立てていくと「クリエイティブ業務」の領域に入ってくる。文章作成のプロセスを分解し、「作業化」しているケースもあるが、クラウドソーシングにおいては、発注側は「作業レベル」のコストでクリエイティビティを求めているきらいがあり、全体にライティング単価を押し下げる方向へ力学が働いている。

市場原理と行ってしまえばそれまでだが、そこにはライティング文化の醸成の可能性が感じられないだけに、悩ましい問題とえいる。下落の幅が、ある業務を「食えない」レベルにまでしてしまうようなら、利便性以上に労働生態系を崩しかねず、そうなるとクラウドソーシングの真の未来もみえてこない。

重要性増す評価の仕組み

実際、ワーカーとしてクラウドソーシングに登録するクリエイティブ系の人々が、単価下落に対する不満を募らせ、クラウドソーシング起業にアクションを起こした事例もある。単なる単価下落ならまだしも、暴落に近い下落に対するフラストレーションだけに事態は深刻だ。昨今は、自動ライティング技術もかなり進化しているが、それでもプロフェッショナルなライティングが醸し出す独特の行間をにじみ出すには程遠い。にもかかわらず、そうしたことよりもあくまで利便性であり、単価が優先されるようなら、文化そのものの衰退にもつながりかねない…。

こうした悪循環を回避するためには、評価の仕組みの厳格化、統一化が必要となってくる。機械で簡単に測定できる類ではないので、難しい作業となるが、クラウドソーシングの真の発展のためには避けて通れないプロセスといえる。理想は、成果物でなく、作業者の評価の明確化だ。現在も各社が様々な評価システムを模索しているが、いまだ明解な解にはたどり着けていない。もしかすると正解はないかもしれないが、これというものがなくとも、常にベストを追求し続けることが重要となるだろう。

単価下落は、海外サイト進攻という要因も避けられない。テキスト系の場合は、言語の壁があるものの、デザイン系では、最低限の言語能力でも十分対応できる。新興国なら、日本の半額以下は当たり前で、それでいてハイクオリティのものもゴロゴロあり、海外勢の本格進攻となれば、日本のクラウドソーシング事業者も少なからぬ影響を被ることになる。もちろん、ワーカー側にも単価下落が直撃することになる。そうなれば、ワーカーのクラウドソーシング離れにまで発展する可能性もある。

こうした流れへの対処としては、仕組みのさらなる整備、ツールとしてのさらなるクオリティ向上、そしてなにより、利用企業、さらにワーカーも含めた、クラウドソーシングに対する認識や意識の変革が求められることになる。さもなければ、クラウドソーシングもネット掲示板のように、「言いたい放題」の無秩序な空間に堕しかねず、さらにはその潜在力が十分に活かされぬまま、一部の人だけが恩恵を被るマニアックな仕組みにとどまってしまうことも否定できない…。

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