グローバル化で起こっていること(前編)
地球経済化と働き方の密接な関係
グローバル化が叫ばれて久しい。その実体はなんなのか。単なる海外進出なのか、外国人ワーカーをたくさん受け入れることなのか…。本連載では、働き方というフィルターを通し、グローバル化をみることで企業やワーカーの背後になにが迫っているのかをあぶり出す。
「国際化」と「グローバル化」の違い
かつて「国際化」が盛んに叫ばれた時代があった。当時は、“ジャパンアズナンバーワン”の真っただ中にあり、ジャパンマネーが世界の高額品を買いあさった。海外に日本支部も乱立し、日本の経済力が世界を席巻していた。
アノ“国際化”といまの“グローバル化”は、全くの別物である。前者は、金にモノをいわせて、世界に日本のエゴをばらまいていただけ。後者は、世界を基準に日本がそれに調和し、順応することを指す。似て非なる世界への処し方によって、日本は、大きな痛手を被ってしまった。
ちなみに、アノ国際化の当時、確かに「国際化」は、ニュアンスとしては今でいう「グローバル」の意味合いで使われていた。しかし、実際には、「国際化」は「インターナショナル」である。グローバルは、「グローブ」、つまり地球であり、意味としては地球をひとつの塊としてみるというニュアンスである。
働き方とグローバル化
そう考えると、あの当時の日本の「国際化」という名のもとのアクションは、勘違い甚だしく、なんと愚かだったのか、と今となっては穴に入りたいくらいの恥ずかしさである。結果的に、自国の素晴らしさにうぬぼれ、世界の動きを俯瞰視できなかったために、進むグローバリズムの浸透に茹でガエル状態となり、ガラパゴスと揶揄されるように取り残され、経済でも後進国へと転落してしまったのである。
では、働き方の観点からグローバリズムをみるとどういうことになるのか…。「地球は一つ、みんな同じだ」。ということは、極端にいえば、世界どこでも同一労働、同一賃金、ということになる。それはまだ現実的とはいえないが、現実的でもある。
ユニクロが導入する「世界同一賃金」。先進国で賃金が高水準なら、新興国であっても仕事や役職が同じなら均一というシステムだ。世界規模で優秀な人材を確保できることに加え、グローバル企業として真の底上げができることなどが同制度の採用理由となっている。それはその通りだが、この仕組みは、先進国の賃金レベル下落と紙一重の危険性をはらむ…。(後編へ続く)