職業

ワークライフ未来予想図 File.1
<ネオフォトグラファー 前編>

投稿日:2013年10月28日 / by 瓦版編集部

汁なしラーメン

ネオワーカーの生き方

インターネットが普及し、個人が情報を発信できる時代が来ている。人が持つスキルや情報を、他人が評価することも容易になってきた。そんな中で、他人から一つの才能を見出され、それを職業としている人間がいる。すぐ先の未来では個人が自分だけの武器を持って仕事を得る時代がやってくるだろう。そんな未来の予想図を描いてみよう。


私は今、一生懸命目下にあるラーメンと向き合い携帯電話で写真を撮っている。湯気の出方、角度、周りに移りこむ調味料や箸箱といった背景、その全てに気を遣いながら写真をカシャカシャと撮り続けている。

昔はみっともないとか、行儀が悪いとか、食べ物は冷める前に食えとか言われていた料理の写真を携帯電話で撮影する行為だが、それはいつの間にか市民権を得た。世の中のあちらこちらで料理の写真は携帯電話で撮影され、そのままブログやインスタグラムといったSNSサービスにアップされるようになった。

そして、それを見た人たちが挙って『Like』のボタンを押したり、「おいしそ~」などというコメントを残したりするようになった。しかし、その行為は趣味の範囲を決して出ることはない。一般の人間が撮影する料理の写真は、インターネットの向こうにいる自分を知っているだろうみんなに向かって「見て見て~これ、おいしそうでしょ~」といいたいがためだけに撮影されている。そして、その写真はいつしか埋もれていく。

グルメ情報サービスに登録している店舗では、その場にアップされた写真を利用し、自社サービスの一環として掲載しているところもあるようだが、その時に撮られた一枚の写真は大量に撮影された写真の中に埋もれていくものだ。

素人がどんどんとそういった写真を掲載するようになったので、店舗はプロのフォトグラファーというものを雇う必要がなくなった。一日のうちに数百枚撮られた料理の写真の中には、「奇跡の一枚」が必ずあり、それを店舗のホームページに掲載するという手法が当然のように行われている。それを実際のメニューとして掲載してしまう店舗もあるぐらいだ。

お陰でプロのフォトグラファーはこの業界ではお払い箱となり、料理を撮影することを主体としていたフォトグラファーは、一人また一人と職を失うか、別の被写体を探すことを余儀なくされた。唯一生き残っている旧時代の料理フォトグラファーといえば、大きなホテルや高級レストランに専属で配備されたプロ中のプロといった人間のみとなっている。

フォトグラファー業界が方向転換をせざるを得ない状況の中で、同じジャンルで同じようなことをして職を得た人間がいる。そう、私のような食事ブロガーと呼ばれる仕事をしている人間である。職を失ったプロのフォトグラファーがいる中で、写真を全く勉強していない自分が一周回ってフォトグラファーと名乗れるようになったのには訳がある。

後編へ続く

<豆知識>
2013年5月末日、アメリカのシカゴにある新聞社「シカゴ・サンタイムズ」にて、写真部にいたカメラマン28名全員が解雇された。その後、記者がiPhoneで撮影した写真を使用掲載するようになったという事件が起こった。
「シカゴ・サンタイムズ」はパッと出の新聞社ではない。1844年から創刊しているという伝統のある新聞社。解雇された記者の中には、ピューリッツァー賞(写真家にとって名誉ある賞)の受賞者もいたという。
今でもカメラマンは新聞社に戻ってはおらず、記者に対してはiPhoneでの撮影技術向上のための講座などが頻繁に行われている。

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