企業風土

戦略的人事?人事戦略室を持つ企業の働き方

投稿日:2014年7月8日 / by

株式会社アドウェイズ 西久保氏 遠藤氏

adways-entrance 株式会社アドウェイズはインターネット広告事業から始まり、現在はスマートフォン広告事業を中心にアジア・アメリカなど世界11カ国に事業展開している会社である。スマートフォン業界における戦略にて、一歩リードしているアドウェイズでは「金儲けより人儲け」という経営理念の元、会社の運用を続けている。 今回は株式会社アドウェイズでの働き方について、人事戦略室長の西久保氏と、同社にて広報を担当する遠藤氏に詳しい話を伺った。


人事戦略室という部署が生まれた経緯

アドウェイズの西久保氏アドウェイズでは2014年現在の時点で1000名近い社員が働いている。これだけの社員を抱えると、部署ごとに人材を管理するのはとても難しくなってくる。そこで、株式会社アドウェイズでは2011年9月に人事戦略室という部署を立ち上げ、人材管理を徹底し始めたという。

西久保氏「アドウェイズではいろいろな人が働いていて、その中で活躍する人材や目立つ人材って、事業自体の偶然性に依存していた部分が強くあったんですよね。つまり、案が通りやすい環境であるとか、アウトプットしやすい環境に属している人ほど、活躍の場やチャンスが与えられそこで成長していくわけです。しかし、目立って活躍する人が生まれていく中で、どうしてもその才能を活かせずに埋もれていってしまう人もいます。これは完全なる機会損失ですよね。会社側が仕組みを作ってピックアップしてあげないと、さらに人材は埋もれていきますし、この先、会社としても立ち行かなくなるというのがなんとなくわかってきました。人をたくさん雇うことができても、そこに集まってくれた人を守り育てていくという部署が今までなかったので、私が音頭を取って人事戦略室という部署を2011年の秋に立ち上げました」

世の中に当然として存在する人事制度では、企業側が人をピックアップし、仕事を与え成長を促している。しかし、そのやり方ではどうしてもその人自身が持つ本来の才能を活かしきれずに埋もれていってしまう人もいるだろう。その状況を打破すべくアドウェイズでは人事戦略室を立ち上げ、いろいろな社内制度を作り上げていくことにしたという。

年4回のビジネスコンテストに込められた想い

アドウェイズでは年に4回ものビジネスコンテストが行われている。会社が社員に対して、新規事業を公募するというコンテストである。自分がやってみたい企画を持っている人や、積極的に仕事にかかわって行きたい人を、会社側から音頭をとって集めていきたいという想いがある。すべては社員がビジネスに自ら向き合うための、きっかけ作りとして行われている施策である。

西久保氏「現在ビジネスコンテストでは、事業部ごとに出し合うというやりかたをとっています。大体一回のビジネスコンテストで30人から40人ぐらいの社員がコンテストに参加してくれます。今後は全社公募という形に切り替えようという話しも出ていて、折角行っているビジネスコンテストなので、今よりもっと社員が発案しやすい場にしていこうと、ブラッシュアップを続けています」

現在は部署ごとに発案のノルマがあるらしいが、ゆくゆくは社員一人ひとりの自主性に委ねた制度に変更していきたいと西久保氏は語ってくれた。

ジョブローテーションにより五年で全員が違う部署を経験

アドウェイズ遠藤氏アドウェイズで行われているジョブローテーションは、他とは違う一風変わったやり方を実施している。「ジョブローテーション」とはすなわち会社内での部署異動のことだが、従来にある会社側からの辞令方式ではなく、社員からの自主申請によって行われるという。

西久保氏「最初は異動したいということは言いにくい雰囲気はありました。それぞれ事業部があるので、異動の申請をしても、その部署の上司から止められるというのは想定できるケースですよね。そこでルールを設けました。他部署への異動を希望する人がいた場合、異動先の責任者が受け入れを容認すれば、異動は成立するといったものです。異動成立までの過程については、異動前の部署にいる上長が絶対に知りえないフローをとっていますし、一度決定した異動については、それがたとえ取締役であろうとも拒否できないというルールになっています。このルールを設けてからジョブローテーションは活性化しました」

アドウェイズのジョブローテーションは、受け入れ先の上司が容認すればOKというルールであるため、親会社子会社間のローテーションも可能であるし、本人が持つ能力の問題をクリアしていれば、海外事業部への異動も可能であるという。

西久保氏「会社全体の目標として、5年で全員が違う部署を経験することを設定しているので、今後も活性化はさせていきたい制度です。異動に関しては売り上げトップの人間が別部署へ行くということもありえるのですが、会社としては外に可能性を見出してグループから抜けられるほうが損失だと考えているので、そのあたりは柔軟に対応しています」 遠藤氏「私も元々営業職だったのですが、今は広報と採用を担当しています。。営業経験があったからこそ、今の部署に行きたいという気持ちになりました。部署異動をする場合には、新しい部署にいって何がしたいのかっていう事をちゃんと明確に伝えることが大事です。アドウェイズではインターネット関連の事業であれば、比較的なんでも経験できる会社なので、同じ業界で外に行くよりも、中で色々できるのは強みだと思うんですよ」

アドウェイズでは年に約20%もの社員がジョブローテーションを利用しているという。そして、それを推進し管理しているのが、西久保氏が率いる人事戦略室である。 西久保氏は元々広告事業部の責任者だったという経緯もあり、各事業部の責任者や代表との連携もとりやすい位置にいることが、さらに社員に安心感を与えている。

社員のための働き方を実現させるために

アドウェイズでは、社員それぞれのためになる働き方について、日々改善を続けているのが伺えた。ビジネスコンテストもジョブローテーションも、すべては社員が働きやすい環境づくりのために行われている。

次回は、そんな社員への感謝に特化した制度「愛社員精神」について紹介しよう。

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第一回:戦略的人事?人事戦略室を持つ企業の働き方
第二回:愛社精神ならぬ「愛社員精神」を実現させている企業
第三回:社員の健康を気遣い社長が始めたイベントとは
第四回:役員が子供だけの会社「アドウェイズベイビー」が牽引する社員のための働き方とは

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