働き方

「マタハラ」はなぜ、ゴースト化しているのか

投稿日:2016年6月8日 / by

表に出てこないマタハラの問題とは

6割以上がマタハラ「ない」。主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』(事業運営者:株式会社ビースタイル/本社:東京都新宿区、代表取締役:三原邦彦)の調査機関しゅふJOB総研が実施した「マタハラ」をテーマにした調査で分かった。対象は同社主婦会員(有効回答数719件)。

しゅふJOB総研調べ

しゅふJOB総研調べ

同調査によると「自分の周りで、マタハラの話を聞いたことがない」と回答した派の62.9%、「自分を含め、周りにマタハラにあった人がいる」26.7%だった。

「マタハラ」という言葉の認知度から考えると意外なほど少ない数字だが、実は同様のテーマで2015年に連合が行った調査でもマタハラを受けたのは5人に1人という結果が出ている。この結果をどう捉えるべきなのか。

厚労省のキャンペーン「STOP!マタハラ」では「妊娠したから解雇」は違法ですとし、事例として次の3つを挙げている。「妊娠を報告したら経営難を理由に正社員からパート降格させられた!」、「上司からウチでは産休取れないんだよと言われ、退職を迫られた!」、「育休から復帰しようとしたら戻り先はないと言われた!」。多くの職場でありそうな光景だが…。

消えたマタハラはどこへ行ったのか

ポイントは「違法」と「女性活躍推進」にあると推察される。企業は違法なことにナーバス。その場合、グレーな手段で追い込む。ましてや社会的に女性活躍の追い風が吹いている。そんな時に「妊娠したから解雇」を露骨にするような企業はさすがにないだろう。つまり、みえない圧力で、妊娠したら自ら辞めるようにムードづくりをしている可能性があるということだ。

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しゅふJOB総研所長の川上敬太郎氏は次のように分析する。「このデータだけを見ると、マタハラは世の中に少ないということになります。しかし、実はそのことこそがマタハラ問題の深刻さを表しているように思います。実際にマタハラにあわなくとも、マタハラにあう前にマタハラにあうのを避けるために自ら身を引いて退職している人が一定数いるようです。言い方を変えると、マタハラが実際に起きていなくてもマタハラにあいそうな雰囲気を感じてしまう職場があるということではないでしょうか。『マタハラはないから大丈夫』、と思っていても実はネガティブな雰囲気が漂っていることに気づけていないのかもしれません」。

学校のいじめ隠蔽に似たような構図が、マタハラにもあるということだ。このデータから真相はみえないが、事実だとすればあまりにも陰湿だ。もしかすると会社側にも、悪意はないのかもしれない。とはいえ、昨今は、妊娠で職場を去らねばならないような企業が優秀な人材を確保することは極めて困難という現実もある。ゴースト化していてもマタハラはマタハラ。女性社員が妊娠したら、当たり前のように「待ってるよ」といえるようでなければ、企業の未来はないのかもしれない…。

企業がマタハラを撲滅しないとヤバい本当の理由

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