働き方

働き方用語の正しい読み方【カウンターオファー】

投稿日:2016年12月22日 / by 瓦版編集部

なぜ、退職希望者の引き留め成功率は圧倒的に低いのか…

「退職したいのですが…」。社員からのこうした申し出に対し、企業側が昇給などの待遇改善案を提示し、引き留めるカウンターオファー。社員にとってはありがたいことに違いないが、ほとんどの場合、「時すでに遅し」というのが実情のようだ。
counteroffer外資系人材紹介会社のヘイズ・スペシャリスト・リークルートメント・ジャパン(株)が実施したアンケート調査によると、転職経験のあるビジネスパーソンの61%が、カウンターオファーを受けながらも断った経験があることが分かった。

さらに、18%はカウンターオファーを受け入れたものの、その後12か月以内に退職したと回答している。合せるとほぼ8割が、カウンターオファーの効力がないことになる。なぜ、カウンターオファーはこれほどまでに、退職希望者に無力なのか…。

同社の日本代表マーク・ブラジ氏は次のように分析する。「辞退した人の場合、大抵はそのタイミングが遅すぎます。キャリアの次のステップに進みたいと考えている場合でも、自分の専門分野を広げたいと考えている場合でも、他社の求人に応募した時点ですでに転職意思は固まっている。別の業界への転身を図る場合や、単に現在の仕事に不満を抱いている場合も同じです」。

知人はまさに退職を報告した際、強い引き留めにあい、カウンターオファーを受けた。だが、頑なに拒絶。その際に「本当にありがたかったが、すでに転職の道筋は決まっていたし、会社に未練はなかった」と話していた。ブラジ氏の分析通り、もはや待遇等の問題ではなく、単純に「時すでに遅し」なのだ。

カウンターオファーととの正しい向き合い方

ブラジ氏はさらに、次のように提言する。「企業はカウンターオファーの提示を考える前に、転職の意向を表明した社員に対し、慎重になるべきです。そうした社員がその後 長期に渡り、会社に忠誠心を持ち続けるかどうかは大いに疑問です」。もしも、受け入れた場合でも、今度は、当該社員の職場での居心地が悪化する可能性がある。結果的に1年以内に辞めた人が18%いたという事実がその裏付けといえるだろう。

ブラジ氏は、こうしたことも踏まえ、転職希望者に対し、アドバイスを送る。「もしカウンターオファーを提示されたら、まず自分のことを第一に考えるべきです。転職することについて罪悪感を持ったり、会社に対して申し訳なく思ったりする必要はありません。感情を取り除き、提示されたカウンターオファーが、そもそも自分が転職を決断するに至った、現在の職場での物足りなさを補うに足るものかどうか、雑念にとらわれずにしっかりと考えてみるべきです」。まさにその通りだろう。

前述の知人は、度重なる説得に、思わず気持ちが揺らいだとも明かしていたが、最後はこの助言のように雑念を取り払い、冷静に判断。次の道へと突き進んだ。社員が辞めると切り出したからあわてて、引き留める。そもそも、そうした状況になる時点で、社員と企業の間には溝がある。根本的な策としては、企業側は常に社員の意向に気を配り、社員もできれば上司に何でも相談する。簡単でないが、そうした環境の構築が大切なのかもしれない。

もっとも、今後の企業と社員の関係性は大きく変わっていきそうだ。リクルートキャリアが運営するリクナビNEXTの藤井薫氏は、2017年のトレンド予測として、“ライフフィット転職”を挙げている。転職先との条件交渉において、報酬よりも自分のライフスタイルにいかにフィットするかに比重が移っていくということだ。さらにいえば、少子高齢化を背景にした人材不足を背景に、転職者と企業の立場が対等となり、こうした交渉が、転職に限らず標準になる可能性をも指摘する。

カウンターオファーに対するカウンターオファー。激しいがクリーンな応酬が繰り広げられ、最後は働きやすさで妥協して決着。今後、各企業でこうしたことが積み重なっていけば、多様性を受容した職場が自然に育まれ、転職の在り方も、これまでとはガラリと変質していくことになりそうだ。

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