働き方

【瓦版 書評】「ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく 」堀江貴文(著)

投稿日:2013年12月6日 / by

ホリエモンではなく堀江貴文氏としての著書

zero-horie以前より、堀江氏の著書は愛読させていただいていたが、今回の内容には驚かされたというのが正直な感想である。ホリエモンとして有名になったときに、書かれた著書の内容からは想像もつかないほどの言葉がこの書物には書かれている。

過去の著書が、イガグリのイガのように尖った部分を主張した作品だとすれば、今回の著書は、その中に入っている甘い栗の部分をさらけ出した作品といえよう。

書の中には、堀江氏の学生時代のできごとやそれについての葛藤、コンプレックスとも捕らえられるものが赤裸々につづられており、今まで表に出てこなかった、人間らしい堀江氏の姿を垣間見ることができた。相変わらずの堀江節もところどころに見られるところが、なおさら共感を生む文章の仕上がりになっているようだ。

大事なことは掛け算ではなく足し算

“ゼロに何を掛けたところで、ゼロのままだ。

物事のスタートは1でなければいけない。それは当然のことで、何かを始めるときというのは、必ず一つ目のアイディアや第一歩がなければならない。それを積み重ねていくことで、ようやく掛け算を使うことができる段階を迎えられるのだ。ローマは一日してならず、成功するまでのプロセスには、簡単に頂上まで登れるようなエレベーターは、用意されていないということである。

最初の一つを積み上げることは本当に難しい。積み上げようとして潰されることもあるし、折角積み上げても崩される事だってある。何より難しいことは、最初の一つを積み上げようと考えることだ。まず、考えて一つ目を選べなければ、スタートラインに立つことすらできない。

考えることの第一歩、それを実行する第一歩、こうやって一つ一つ積み上げることが重要である。それがものごとの足し算となっていく。

お金が欲しいから働くのか?

お金のために働くという人と、仕事のために働くと言う人、この間には歴然とした差が存在する。働かされている人なのか、働いている人なのか、という視点で見ると完全に二分される。一生遊んで暮らせるお金さえあれば、もう働きたくないと考える人はたくさんいるだろう。

そういう人は、働いていると言うよりも、自分の時間を差し出し、犠牲にし、働かされている人なのである。しかし、それでいいのだろうか。一生のうち人生の大半を仕事に拘束されると言う考え方で、今後の人生やっていけるのだろうか。もちろん、働かされていることの方が向いている人だってたくさんいる。しかし、それでは消費するだけの人生になって行きかねない。

“多くのビジネスマンは、自らの「労働」をお金に換えているのではなく、そこに費やす「時間」をお金に換えているのだ。

労働者は時間を掛けて仕事をすることよりも、時間を掛けることを目的としている場合が多いことがある。幾ら時間を掛けようが、そこに対価が生まれなければ、労働とは言えないのである。時間と労働の関係は、今後の働き方を考えるときにはとても重要になってくる。

悩むのではなく考えよう

“「悩む」とは、物事を複雑にしていく行為だ。

“一方の「考える」とは、物事をシンプルにしていく行為である。

考え方の違いを見せ付けられた一文である。人々は常に何かに対して悩んでいる。こういえば、物事はどんどん深刻化していく様が伺えるであろう。しかし逆に、人々は常に何かに対して考えている。と書けば、それだけで事態を好転させるための何かが生まれるような気がしないだろうか。

物事をシンプルにしていくためには、しっかりとした態度で推し進めなければならない。一時の感情に流されていては進めるべきことも進められなくなるのだ。ここで大事なのは決断力である。決断力なくしては、人は停滞していく一方である。だからこそ決断力をもっともっと養っていかなければならない。

描かれているのは成功秘話ではない

キンドルでも発売されている

Kindleでも発売されている

この本に書かれていることは、いわゆる、成功秘話といった類の内容ではない。また、自伝というのも少し違う気がする。いうならば堀江氏を形成している思想の集大成である。経験と知識と考え方によって築かれてきた彼の血であり肉であり骨である部分が描かれている。これを読んで何をどう感じるかは読んだ人によって多少の違いはでるだろうが、自分が培ってきたものや、これから得るべき知識や考え方に変化が生まれるのは確かである。

今現在の堀江氏のマインドに触れて見たい人、働くことについて悩んでいる人、自分の意識を少しでも変えてみたい人におすすめの書物である。

単行本とともにKindleでも販売されており、電子書籍で読みたいユーザーも、すぐ手に取ることができる点に関しては、さすが堀江氏といわざるを得ない。

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