働き方

企業にとって「多様性」が重要な本当の理由【瓦の目】

投稿日:2015年2月13日 / by

企業経営にとって「多様性」が重要な理由

これからの企業はいかに個々の能力を最大化するかが肝要

これからの企業はいかに個々の能力を最大化するかが肝要

企業経営において、「多様性」の重要度が増大している。老若男女、外国人など、バラエティに富む人材を、それぞれの良さを引きだしながら活用することが、これからの時代で強い組織、強い企業をつくりだす源泉になるということだ。人口減少という大きな背景があるが、それとは別軸で、企業と多様性について掘り下げてみる。

企業が多様性に富む。当然そうあって欲しいところだが、現実にはそうでない企業が少なくない。理由は、それが組織運営上困難だからだろう。社員個々の性格、境遇、スキル、適性…会社規模によるが、マネージャーがそうした個々の部下のデータを的確に把握し、かつ的確にタクトを振るうとなると、相当な労を要する。処し方を間違えば、人的リソース流出という代償をも伴う。

従来の働き方では、「なぜこんなことができないんだ」と一喝することで、抑圧できた。いまは「どうすればできるのか一緒に考えよう」というスタンスが求められる。過保護の様だが、それがマネジメントスキルとしての重要なファクターとなるからだ。その意味では、今後、成績が優秀でマネージャー職に抜擢されるスタイルも消失し、マネージャー職に適した人材が抜擢されるケースも増えてくるかもしれない。

こうした流れを「生温い」と考える層もまだまだ少なくないだろう。だが、実は、そうした考えこそ、思考停止であり、さらにそれがマジョリティならかなり危険な兆候だ。なぜなら、もはや環境が、かつてとは大きく変わってしまっているからだ。かつてのままのやり方では、正常に機能しなくなり、不具合ばかりが起こってしまう。そこに目を向けず、変わらぬスパルタ式での一括マネジメントでは、組織は簡単に崩壊する。利益を上げる以前の問題だ。

多様性=柔軟性

単なる組織論の様だが、こうした変化に対応しない企業は、市場の変化にも対応できないハズである。従って、もしも、多様性を議論するときに、過去を引きずるようなら、非常に危険なサインと受け止めるべきだ。「どうしたら売れるのか」の議論の時、過去の成功体験を引きずっても仕方がない。いまの市場環境でどんなものが売れるのか、というところまでさかのぼり、議論しなければ、販路にさえ乗らないかもしれない。それと同じだ。

組織で多様性をうまく機能させることは=変化スピードが加速している市場への対応力そのものである。企業がそのことを認識すれば、革新性のある製品やサービスを生みだせる土壌づくりにもつながっていくだろう。勘違いしてはいけないのは、多様性に富む企業を創るために、多様な人材を採るということではないということだ。なぜなら、どんな人材にも個性があるからだ。従って、これまでは使い切っていなかった個々の社員の潜在能力をどこまで引き出せるようにするかに注力することが企業にとって肝要となる。

制度なのか、仕組みなのか、マネジメント術なのか…個々の能力を引きだす方法論も当然、企業の数だけあるだろう。それはともかく、多様性にあふれる企業は、間違いなく活気にあふれるハズである。本業だったものが、いつの間にか4番手、5番手になることも普通になるかもしれない。だからこそ、次世代ニッポンにしっかり地に足を着けようとする企業にとって、社員のマインドを共通化するビジョンの設定は、極めて重要になる。多様化を受け入れることは、企業として何を目指し、どこへ向かうのかを明確にする、場合によっては再構築することとも同義であるといえるだろう。

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