働き方

派遣法改正は本当に“改正”なのか

投稿日:2014年1月30日 / by

お毒 厚労省が「労働派遣法改正案」の最終報告案をまとめて、通常国会に提出するわね。

猫田先生 報告案ではこれまで「専門26業務」限定で無制限に派遣に任せることが可能だったものを、全ての仕事で派遣に任せられようにするみてぇだな。言ってしまえば、ガンガン派遣を使えるようにしたってことだな。

毒舌家

お毒 企業にとっては都合のいい展開よね。首切りの難しい正社員じゃなく、簡単に契約を解除できる派遣を無制限に使えるようになるなんてさ。一体何のための“改正”なのさ。

物知り

猫田先生 まず前提として、実行するには条件があることを忘れちゃいかん。3年ごとに派遣労働者を代える、労組の意見を聞く。この2つをクリアすれば、ということだ。その上で何のためかといえば、派遣労働者とそれを使う企業のためだな。

お毒 単に企業のためだけじゃないの?。派遣のためにいいことなんてちっとも見当たらないわよ。派遣の人は3年たったら辞めなきゃいけないんでしょ。

猫田先生 そもそも派遣の位置づけは何かといえば、「労働力の需給調整機能」だ。季節需要や早急な戦力の確保の目的で派遣を活用することで急場をしのぎ、長期的な企業の成長に役立てるのが一番。だから業種も絞られてたんだ。ところが、ズルズルと派遣の規制緩和が進み、いつの間にか企業にとっての“リスクヘッジ”として派遣が使われるようになってきた。景気の悪化と並行して非正規の割合が増加しているのが何よりの証拠だな。健全なら派遣先で3年働いて優れた人材と分かれば、正社員にすればいいんだが、それだと負担になるのが企業の本音だ。だから、このままだとますます非正規が増加し、格差社会が拡大する危険性はあるよな。

お毒 ますますおかしい。なんでこれが“改正”なのよ。

猫田先生 派遣社員と派遣先の正社員との待遇に差が出ない様にすることも盛り込まれたりはしてるし、3年後に直接雇用の依頼や新たな派遣先の適用などを派遣元企業に求めている点では、雇用の安定という側面で改善を意図していることは感じるよ。ただ問題は、望んで派遣を選択している人にとってはメリットもあるんだろうが、正社員になりたいのに選択肢がなく派遣に甘んじている人が多いというのが現実。そうなると、良かれと思ってる施策もすべて裏目。あくまで派遣という働き方だけでみれば、改正ともいえるが、今の日本の現状を考えると“改悪”にしかみえねぇよな。

おっちょこちょい伝衛門 本日伝衛門、ハケンとして参加させていただいております!

お毒 アンタちゃんと正規メンバーじゃないことを認識してたのね。3年は辛抱しなさい!

猫田先生 このままだと今後、派遣の割合がさらに増えることは間違いないだろうな。政府は“柔軟な働き方”を打ち出しているわけだから、派遣を使いやすくするんじゃなく、派遣の待遇をよくすることにこそ全力を注いでほしいもんだな。それが、働き方の多様性につながり、少子高齢化による労働人口の減少への有効な対策につながるんだからさ。頼んまっせ。

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