働き方

仕事に行かずに釣りへ行く「あの男」に学ぶ気楽に働く方法

浜崎伝介(釣りバカ日誌:ハマちゃん)

口癖は「仕事行きたくない」

「仕事に行きたくない」。浜ちゃんにとっては、日曜夜どころか、毎日がそんな状態。時間があれば、釣りがしたいのだから当然である。親類縁者はすでに何度も“死亡”している。イヤイヤ職場にいっても机の引き出しには、釣り具がビッシリ。暇さえあれば仕掛けの準備をするありさまだ。

ハマちゃんにとっては、仕事は苦痛でしかない。テキトーに仕事をこなしながら、週末やズル休みの釣りで、エネルギーを全開し、その全てストレスを一気に解消する。優先順位などなく、釣り99.999%、仕事0.001%。正確には限りなくゼロに近いが、一応、出社はしているので、ゼロではないということである。釣りバカといわれるゆえんである。

それでもなぜ出社するのか

水面を目にすれば、仕事中でも竿を指すのがハマちゃん

水面を目にすれば、仕事中でも竿を垂らすのがハマちゃん

なぜハマちゃんはそれほどまでに仕事が嫌なのに出社するのか…。そこまで好きなら釣りのプロとして食っていけばいいではないか、そんなことも選択肢にありそうだが、さすがのハマちゃんもそれほど世間は甘くはないことを分かっているのだろう。もちろん、養うべき家族がいるからであることは言うまでもない。だが、釣りバカゆえに、もちろん出世など眼中になし。出世のチャンスがあってもことごとく拒み、逆に釣りが満喫できる片田舎の支社への左遷を自ら望むほどだ。

それでもなぜクビにならないのか

こうなるとなぜ、こんな社員がクビにならないのか、という疑問がわく。実はハマちゃんには、釣りの弟子が多数おり、それが仕事で知り合ったお偉いさんであったりすることが多い。出世など眼中にないハマちゃんにとっては宝の持ち腐れだが、上司に頼まれ、ハマちゃんがひと言口添えすると、難しい商談もあっさり決まる。本人に出世欲が皆無のため、手柄は、別の人間がとるが、そうしたことが、直接的ではないにしても、結果的にハマちゃんのクビをつないでいるのである。もっとも本人はクビでも全然構わないと思っているのだが…。

そう考えると、「仕事に行きたくない」と心から思っていても、とりあえず会社には足を運んだほうがいい。とにもかくにもお給料がもらえるのだから。だが、そこで無理に出世や会社への貢献を一切考えない道もあるということだ。仕事に行きたくないと思う人は、本当に仕事そのものが嫌な場合もあるだろうし、単に嫌な上司がいるだけの場合もあるだろう。出世争いのピリピリ感が嫌いな場合もあるかもしれない。だが、そうしたことからキッパリと完全に開放されてしまうのだ。

釣りのために無能の仮面を被る働き方

「それができたら苦労しない」、そんなことしたら「即刻クビ」だ。そうでなくても、「無言の圧力に押しつぶされてしまう」…。確かにそうかもしれない。ましてや、リストラが蔓延するご時世。真っ先に解雇リストに載るかもしれない。確かにやり方を間違えれば、その可能性は高いだろう。しかし、行きたくない仕事に無理にいく苦痛を考えれば、実はそんな心配は全然大したことではないだろうか…。

一切の出世への道を絶った上で普通に仕事をこなし、人付き合いもほどほどにゴマすりはせず、自分の趣味の追求に命を懸ける、というのも十分ありといえるだろう。ハマちゃんのように、のらりくらりと追及をかわすテクニックは名人芸に近く、真似は困難だが、ひたすら目立たぬよう、やり遂げることは可能だろう。磨いた趣味と仕事での人脈がつながれば、万一、クビになっても、職を斡旋してもらえる道も開けよう。いまなら、磨き上げた好きなことを武器に、ネットなどを活用し、自分である程度の稼ぎを得ることも簡単な環境が整っているのだから、無職転落に必要以上にナーバスになることもない。

逆転の発想でまずは「バカ正直」脱却が第一歩

ハマちゃんは、架空の人物だが、「仕事に行きたくない」病のサラリーマンにとってはある意味で最高のお手本であり、カリスマといえる。サラリーマンの常識をことごとく打ち破り、それでもサラリーマンで居続けているのだから。要するに、行きたくなくてもとりあえず会社は行く。その代り、会社への貢献とはまるで違う目的で仕事に臨み、無能社員の仮面をかぶり、“完璧にテキトー”に仕事をこなすのだ。これはもう、図太さを通り越して才能というほかないが、本当に行きたくないなら、それくらい腹を決めるのもワケないハズである。

「仕事に行きたくない」という思う人が、その思いを消し去ることは、非常に困難だろう。だから逆転の発想なのだ。つまり、行きたくないところに行くのだから、サラリーマンがしなければならないと一般的に思われることを一切放棄してしまうのだ。そうすれば、随分と気持ちは軽くなり、会社へ向かう足取りも少しは軽くなるハズである。万一クビになっても何とかなる。むしろ、いやな仕事から本当に完全開放される。それくらいの気構えで、そうしたことをスリリングに楽しめばいいのだ。「●○バカ」の前に「バカ正直」からの脱却。それが、「行きたくない」克服の第一歩になる。

以下の記事では、バーのアルバイトからiPhoneの修理工に転職した櫛田さんへのインタビューを掲載している。櫛田さんが転職した理由は「修理できたらかっこいいな」という軽い気持ちからだったそうだが、今ではバーの接客技術を活かせる職場環境で毎日の生活がとても充実しているという。嫌な仕事を続けるくらいなら、さっさとやめて自分の興味があることを始めてみるのもいいのかもしれない。

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