インタビュー

新しい働き方がもたらすもの

投稿日:2014年1月20日 / by 瓦版編集部

ソーシャル・デザイン 代表理事 長沼博之氏  インタビュー〈中〉

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新しい働き方が広がる世界とは

従来の価値観が覆る“ネクストワークスタイル”

新しい時代の到来を予言する長沼氏。従来とは違う価値観、働き方が広がる世界とは一体どんなものなのか。そこでは、先端を行くビジネスマンしか生き残れないのではないか…。期待と不安が入り混じる“ネクストワークスタイル”。インタビュー第二弾では、そこでの処し方を指南いただく。


“新しい働き方”が広がる世界

――前回、従来の働き方が終わり、新しい時代が到来すると話していました。それはどんな世界なのでしょうか。

長沼氏 事業のゲーム化、ということを前回お話ししました。その言葉に象徴されるように、これまでの成功や失敗が、極めて軽いものになる社会です。例えば、大手企業に勤めていれば「エリート」ということが、必ずしも成功とはいえなくなります。具体的にいえば、ある大手企業で大リストラが行われました。解雇された大半は、技術者です。残ったのは、メンテナンスをする部署の者でした。この場合、大企業に勤めてはいても、やっていることは、非常に地味なことになります。であれば、小さな会社で、開発の最先端で働いている方がいい、という人も多いでしょう。

――大企業勤務なら世間体はいいかもしれませんが、仕事内容で自分に胸を張れるかといえばなんとも言えませんね…。とはいってもやはり、例えば今ブラック企業などで働いている若者が、再浮上できる社会になるのかといえば、イメージは湧きづらい。

長沼氏 「勝ち組」、「負け組」、「落ちこぼれ」の概念は大きく変わります。というよりも、たくさんお金を稼いでの成功や、ビジネスにおける従来なら大きな失敗も、ゲームのようにちっぽけなものになります。21世紀においては、従来はすぐれたとされていたスキルも例えばチーターが足が速い、といった機能レベルのものとなり、評価の仕方がガラリと変わります。逆に重要になるのが、忍耐力や人から好かれる力、コミュニケーション能力など、スマートさだけでは身につかないようなスキルが今後、大きな価値を持つようになります。

価値観の変化した希望ある世界

――価値観や概念が変わるから、今ブラック企業に勤めていても必ず希望はあるということですね。

長沼氏 その通りです。また、苦労は必ず糧になります。変に若いうちから小才を利かせて苦労を避ければ、人生の中盤までに成長がストップし、後々苦労することになります。ただし、今ブラック企業に勤めていることで、希望を失い、こうした大きな文明の転換点にいることに全く目を向けないようでは、せっかくの可能性も潰えてしまいます。ですから、今何が起こっているのかをしっかりと理解し、頭の片隅でいいので、入れておくことが非常に大切になります。

――新しい時代に備え、しっかりと心構えを持つことが大切なのですね。

長沼氏 私の話していることはノストラダムスの予言ではなく、確実に到来するそう遠くない未来の話です。ですから、知らないでその時を迎えるのはあまりにも無防備です。知っておくことで自ずとそのプロセスの中で気づきがあるでしょう。到来するまで何も知らない状態では、いくら希望があるとはいっても、後手後手に周りうまく流れに乗りにくくなります。

ブラック企業サイクル――価値観が変わり、これまでの常識が通用しなくなる社会が到来することは分かりました。もう少しなにか、イメージする材料をいただけないでしょうか。

長沼氏 企業や会社という形態が、なくなるということはありません。ただし、いわゆる会社の形は激減し、大企業はインフラとして残る形になるでしょう。JRやNTT、そしてAmazon…。人の生活を支援する企業が、大きな単位となって存続します。それ以外は、例えば大企業を離職した個人やチームが、プロジェクト単位で動くことになるでしょう。劇的なワークプロセスの転換によって、一億総プロジェクト時代となるのです。それはある種江戸時代が高度に復活する社会、と言い換えることもできるかもしれません。

いまの苦しみが報われるためにすべきこと

――そうなるとやはり、優秀な人間にとってより有利な社会になるような気もしてしまいすが…。

funding-of-future長沼氏 誰もがプロジェクトを立ち上げやすい世の中になるワケですから、チャンスは平等にあります。それこそ、いま、ブラック企業の象徴といわれる飲食店でのキャリアは、コミュニケーション力の強化になるワケですが、そのコミュニケーション部分を自身のコアスキルとしてプロジェクトを立ち上げれば良いわけです。そして、その他の必要な部分はクラウドソーシングで人材を集め、クラウドファンディングで資金を調達する。こうすることで、ほぼどんなプロジェクトでも実現できるインフラが整いつつあるわけですから、何の心配もいりません。本当の変化の狭間には、新しい制度も生まれてきます。それはこれまでの歴史が証明しています。

――いま苦しくてもそれは必ずやってくる“次の時代”につながるための“痛み”なのですね。

長沼氏 その通りです。いうまでもなく、日本は少子高齢化で今後90歳まで生きることが普通になってきます。従って、65歳の定年までをつつがなく迎えても、決して安泰ではありません。むしろ、そこまでは前哨戦といえるかもしれません。70代、80代でいかに充実した人生を送れるかが、重要になってきます。何度も言っているように価値観が変わるというのはそういうことです。いま苦労している人が、新しい時代をつくるべく、先頭に立っていくことになると思います。希望を持ってください。
【中 了】

<下に続く>

上『なぜいま新しい働き方なのか』はコチラ


naganuma4【プロフィール】
一般社団法人ソーシャル・デザイン代表理事。 経営コンサルタント。企業、NPO、団体、個人に向けて近未来型事業モデル構築のコンサルティングを行う。また、次世代のビジネスモデル、働き方、社会のあり方を提案するメディア「Social Design News~社会をより良くする近未来インスピレーション情報~」を運営。メイカーズ革命、クラウドソーシング、ソーシャルデザイン等についてテレビや雑誌から取材多数。著書に「ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉」がある。

URL:http://social-design-net.com/


◎ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉
いやま組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長い。会社にぶら下がりたくても、会社そのものが脆くなっている。そうした中で、テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。同書は、そんな時代に、いかにしてしっかりと働き方の設計図を描けばいいのか…。そのヒントを具体的な事例も交え、解説している。

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