企業風土

「時間より成果」と「仕事中毒」の悩ましい関係【瓦の目】

投稿日:2015年6月12日 / by

ITベンチャーの経営層が興味津々のテーマ

ワーカホリックのほとんどは最終的に健康を害してしまう…

ワーカホリックのほとんどは最終的に健康を害してしまう…

イクボスITベンチャー同盟の決起集会のセミナーで、話し合いたいテーマを選択してもらう場面があった。用意されたテーマは10ほどあったが、なんと、満場一致で決まった。「ワーカホリックVS時短社員」だ。いわゆるイクボスに関するストライクのテーマはほかにもあったが、参加した企業の代表の関心はそこに集中した。

一体なぜ、このテーマに企業のトップは興味津々なのか。その理由は「評価」にある。ワークライフバランスを考え、効率重視でテキパキと仕事をこなし、定時に帰る社員に対し、自ら好んでハードに働く「ワーカホリック」。仕事中毒者は、会社にとって、ある意味で都合がいいが、組織全体で考えれば、明らかに“問題児”。だから、悩ましいのだ。

仮に、ワーカホリックを「中毒」だから仕方がない、と容認するとする。当然だが、そこには、評価が発生する。効率的に働く社員とワーカホリック。後者が、効率はともかく、長時間働き、かつ、しっかりと成果も出すとすれば、その評価をどうするかは、経営層にとって本当に難題だ。

単純に成果に対し、評価を下すとしよう。その場合、時間で割って成果とすれば公平になる。だが、成果をそこまで厳密に出せるのか、という問題がある。そもそも、長時間働くことは会社として避けて欲しい方針だとすれば、ワーカホリックだからといって、長時間労働はマイナス評価にしてもいいかもしれない。現にニコチン中毒者を評価のマイナスにする企業もあるほどだ。

ワーカホリックは「中毒」という病

「多様性」、という言葉があるが、さすがにそこにワーカホリックは当てはまらないだろう。互いに相乗効果をもたらす人材の集まりこそが多様性の本質であり、秩序を乱すような人種の“混入”は、マイナスしかもたらさないからだ。本人に悪気はなくとも、遅くまでいることで、他の社員が帰りづらくなる間接的悪影響を与えていることも見逃してはいけない。

とはいえ、ワーカホリックが仕事に対し、真摯であることは間違いない。排除するのは気の毒かもしれない。そこで折衷案として、ワーカホリックが、遅くまで働くことは本人の自由。ただし、健康管理には十分に配慮し、評価はあくまで定時までの成果でする、というのはどうだろうか。

それでは「仕事中毒者」に気の毒、という意見もあろう。だが、“中毒者”に気を遣う必要は、ハッキリいってない。そもそも、他者からは理不尽にみえる条件でも飲んでしまうから「中毒」なのだ。会社としても健康を害す率が高いワーカホリックに対するケアにもなっており、互いの利害関係が一致する。少々荒療治だが、ワーカホリックを「善」とする理由はどこにもない。

 

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