本郷の女性専用共働スペースが心地よい理由

他とは違う空気感の理由とは

女性専用らしい空間に作り込まれたAlbo

コ・ワーキングスペースは、多様なビジネスパーソンが同じ場所で共に働く場所。それぞれワーカーが持つ個性や才能が交錯し、相乗効果を生みだし、ワーキングスペースとしてのエネルギーを高めていく―― 。東京・本郷にある女性専用コ・ワーキングスペース「Albo」。確かにそうした形で機能はしているが、そこに漂う空気は、なにかが違う。

なにが違うのか。女性専用という側面もゼロではないだろう。だが、そうした表面的なものではない、ふんわりとしたような不思議なムードが同所を覆っている。運営する（株）M2.F寺本眞子氏 と平野正子氏 の話を聞き、その答えがハッキリした。

「私どもは、この場所の運営をしていますが、コ・ワーキングで 利益を上げるというよりも、ここでのつながりやここからの発信によって得られることに期待しています。それが可能なのは、私たちには、主たる事業 があるからです。その意味では、ここの運営は、いわば我々の事業との相乗効果も踏まえた広告的な意味合いといってもいいかもしれません」と2人は明かす。

場所貸しと考えないスタンス

運営者であり一利用者でもある寺本氏（左）と平野氏

寺本氏は不動産管理、平野氏は建築設計・インテリアデザインなどに長く携わる。事業運営の柱があるため、コワーキングの運営は、基本的には赤字を出さない程度に、儲けは考えない運営スタンス。だから、料金も月額9,000円と破格の設定だ。“場所貸し”ビジネスとして捉えていないから、妙なドライさもない。「共に働く」の中に2人もワーカーとして同化しているから、運営者と利用者という壁もない。

だからこそ、入居者の審査はしっかりと行う。同志を探すような感覚で、じっくりと仕事への考え方をヒアリングする。厳しいというよりも、コンセプトの理解していることを重要視する。2人がそうであるように、起業家やそこを目指す人が成長できる場を目指しているからだ。この時ばかりは、2人の顔も運営者色が強くなる。そうやって着々と集まった利用者は、いまでは20名を超える。それぞれが、同所の考え方に共鳴した、自立した女性起業家やその予備軍たちだ。

オープンは、2013年1月1日。それから2年近い歳月がたとうとしている。右も左も分からない状態から、ようやく軌道に乗り始めたが、実は、設立半年目に大きな転機を迎えている。当初、2万円を超える利用料でスタートしていたが、一気に半額以下に下げたのだ。理由は、原点回帰。コ・ワーキングという場の提供で起業家の背中を押したい。そうした設立時の原点に戻り、そのハードルを下げることで利用者を増やすことへシフトしたのだ 。この決断を境に、2人はコ・ワーキングスペースの運営者という“呪縛”から解き放たれたのかもしれない。

集まるから生みだすコ・ワーキングスペースへ

ビジターでも2,500円／時～利用できるセミナールーム

「2万円を超える価格の時は、3か月くらいで退去する人もいました。見合うだけの将来性がみえなかったのかもしれません。料金改定においては、見合う価格というよりも入居者が安心して継続して いける価格というのを意識しました。あまり安いと入居者の質が下がる心配をしたのですが、結果的には堅実にやっていける優秀な人が集まってくれましたね」と2人は振り返る。

運営者との距離感、利用料、入居者の質、立地…いずれもが絶妙の加減で、自立した女性にとって、心地の良い空間となっている同所。9月と10月には、会員起案の外部向けのイベントが初めて開催された。「この催しをきっかけに、集まるコ・ワーキングから、生み出すコ・ワーキングへの第一歩にしたいですね」と展望を語る2人。社会的に女性活用の追い風が吹く中で、同所にも共働スペースとして、その躍進の背を押す心地よいフォローウィンドウが吹き始めている。

窓際のシートはカフェ風でゆったり仕事ができる

【施設概要】
場所　　　　： 文京区本郷4丁目2-12　芙蓉堂第3ビル2F
設備　　　　： 個人業務用デスク、ディスカッションテーブル、ソファ、
ワイヤレスLAN、有線4本、コピー機・スキャナー、冷蔵庫、
電子レンジ、その他アメニティ等、配備。
セキュリティ： 2階はオートロックキー採用
利用料　　　： ・フルタイムメンバー 入会金10,000円(税別)
月会費9,000円(税別)
・スポット利用 1日2,000円(税別) 月2回まで
・セミナールーム利用料 ：会員1時間700円（税別）。ビジター1時間2,500円(税別)
ホームページ： http://www.m2firm.com/