働き方

「男性の育児休暇取得の実態に迫る」(2)

投稿日:2014年4月17日 / by

kodure

【日本の男性育休取得が進まない5つの理由】

 前回、日本の男性の育児休暇取得率は低く、「まともな夫婦の育児休暇分担」ができている男性は、1000人中4人しかいないという実態についてお伝えしました。

では、なぜこのような状況が続いてしまうのでしょうか。

その理由は、男性の育児休暇取得率が8割を超えているノルウェーやスウェーデンに目を向けてみると、良く見えてきます。

■その1:国の本気度が足りていない

身も蓋もない話ですが、まず1番目の理由は、国の本気度不足です。取得率が高い北欧諸国と日本とでは、男性の育児休暇取得推進のための政策の「質」が違うのです。

例えばノルウェーやスウェーデンでは、「パパクオータ制度」というものが導入されています。

これは、育休の一定期間を父親に割り当てるもので、93年にノルウェーが導入し、北欧を中心に広がりました。ノルウェーの場合、育休を最長で54週間取得できますが、うち6週間は父親のみが取得できます。父親が取らなければ、権利が消滅してしまうのが制度の特徴です。育休中の手当は、最長の54週間取得した場合は出産前の給料の80%、44週間までなら100%が支給されるようです。

ノルウェーでは77年から、男性も育休を取れるようになっていましたが、実際に取得する人は皆無に等しく、90年代に入っても取得率はわずか4%程度だったそうです。それが、制度導入を機に急増し、4年後の97年に7割を超え、03年には実に男性の取得率が9割を超えたそうです。

推進策として「義務化」も

日本でも近年、「パパ・ママ育休プラス」と呼ばれる制度ができ、父母ともに育児休業を取得する場合は、育児休業の権利期間(1年)が2か月延長されるようになりました。一見類似している制度にも見えるのですが、日本は元々の期間にプラスしているため、どちらかというと、「奨励」の色合いが濃く、北欧諸国は「義務」という色合いが濃くなっています。

まずは、日本も「義務化」のメッセージ性が強い制度を導入すること。筆者は、これにより取得率はグンと高まると予想しています。(次週に続く)

(参考資料①イクメンプロジェクトHP:https://ikumen-project.jp/index.html )

(参考資料②海外事情:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/dl/h0701-6a_0004.pdf

(参考資料③海外事情2:http://www.kyoeikasai.co.jp/kpa/agent/monosiri2008-21.htm

◇男性の育児休暇に関する記事一覧


オンユアマーク井上氏【プロフィール】
井上幸一郎 有限会社オンユアマーク 取締役社長
2000年立教大学経済学部卒。
eラーニングベンダーにて、米国の学習管理システムのローカライズ、販売等に従事。米国民間資格の普及推進にも努める。
また、大原学園の資格対策eラーニング講座の法人販売やeラーニング管理システムの法人販売にも従事。
2005年、人事コンサルティング企業に転職し、企業研修・人事制度コンサルティングなどの営業・講師・コンサルタントなどを歴任。
2007年、3か月の育児休暇を取得。
2010年11月、「日本の人事にイノベーションを」をコンセプトに独立。
・日本ワークライフバランス研究会会員
ホームページ:http://onyourmark.r-cms.biz/

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について