働き方

グローバルで起こる海外集団出稼ぎ

投稿日:2014年4月1日 / by

worldwide_buisiness前回は、グローバル化を背景に、働く人の3極化の可能性を指摘した。個人に根ざしたそうした動きとは別に今後、日本の技術力の海外輸出が顕著になってくる可能性も浮上する。

言うまでもないが、少子高齢化により、今後数十年で日本市場は縮小を続ける。比例して労働力も減少するが、もちろんそのまま衰退するわけにはいかない。そこで、ターゲットとなるのが、人口が増加し、市場が膨張している新興国となる。

今後日本が“輸出”するものでさらに注目されるのは、工業製品などでなく、鉄道や水道、電力などのインフラ技術だ。新興国にとって、発展の途上でインフラ整備は不可避の必要案件。グローバル化により、日本も市場競争で負けるシーンが目立ち始めているものの、その技術力は決して錆びついてはいない。とりわけ、インフラ技術となれば、まだまだ大きなアドバンテージがある。インフラ整備はいうまでもなく、超巨大案件であり、日本にとっての利益も計り知れない。

「今後のひとつの動きとして、インフラ輸出がさらに盛んになるでしょう。新興国の発展に貢献できる日本の製造業の技術はたくさんある。これから、国内で製造業で活躍できる機会が減少しかねない中で、膨大な需要のある海外で貢献することは、これまでに培われてきた日本の人材をフルに活用することにもつながる。また、インフラの設計、製造だけでなくメンテナンスなど時間のかかることもあり、現地の人材へ技術教育を行うことで、日本の製造業で課題となっている人材育成/技術継承としての側面からもメリットがある」とリクルートワークス研究所の戸田淳仁氏は予測する。

単なる海外集団出稼ぎにとどまらず、新興国の発展に貢献し、日本で課題となっている人材育成や技術継承も兼ねられるなら一石三鳥。技術大国日本だからこその“インフラ輸出”であり、少子高齢化の負を解消する動きにつながる。

グローバル化は、コスト面がフォーカスされ、負の側面が強調されがちだが、純粋に市場が広がるという観点に立てば、紛れもない光明でもあることを忘れてはいけない。
第4回:グローバル化で失敗しない海外現地法人展開
第3回:進むワーカーの三極化
第2回:グローバル化で起こっていること(後編)
第1回:グローバル化で起こっていること(前編)


リクルートワークス研究所戸田氏【プロフィール】戸田淳仁(とだあきひと)リクルートワークス研究所 研究員
慶応大学経済学部卒。2008年より現職。「大卒求人倍率調査」「採用見通し調査」など、民間企業の新卒採用、中途採用に関する調査に携わる一方、インドに進出する日系企業の採用動向ヒアリング、日系企業で働くインド人のヒアリングを担当。インドに関する報告書「インドにおける新卒採用の現状」を取りまとめなど行った経験がある。
・リクルートワークス研究所:http://www.works-i.com/

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