働き方

シニア人材は「人財」か「人害」か

投稿日:2014年11月7日 / by

シニア人材活用への人事担当者の苦悩

シニア人材

トランストラクチャ調べ

シニア人材は使いにくいのか、金食い虫なのか…。(株)トランストラクチャ(東京都千代田区、林明文社長)がシニア雇用に関する調査を実施。その結果から、企業がシニア人材の扱いに苦慮している実情が浮き彫りになった。

2013年4月から施行された改正高年齢者雇用安定法により、企業は(1)定年の定めの廃止、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年の段階的引き上げ、のいずれかの実施が義務化された。そうした中、上場および未上場企業177社の人事担当者を対象に調査が行われた。

その結果、継続雇用制度の導入が90%となり、定年廃止や引き上げはわずか1割にとどまった。継続雇用は、一度正社員契約を切った上で再雇用となるため、企業にとっては最も弾力性のあるスタイル。先行き不透明な経済情勢の中、無難な選択をせざるを得なかったことが明確になった。

調査では継続雇用における課題も聞いている。最も多かったのは「モチベーションの低下」と「適切な業務を提供できない」が36%で並んだ。このことからは、実質的にキャリアがリセットされたベテラン社員の扱いに苦慮する企業担当者の姿が浮かび上がる。

それを裏付ける調査結果も出ている。高齢化・65歳雇用義務化へ向けて実施している施策は何かという質問への回答だ。トップが、若手人材の積極採用が44%。次いで、役職定年制29%、成果型人事制度の導入・推進となっている。これらは、組織の新陳代謝を強く意識している表れであり、モチベーションの低いベテラン社員にとっての“締め付け”ともいえる施策だ。

シニア活用への施策若手の積極採用?

トランストラクチャ調べ

トランストラクチャ調べ

さらに、今後実施する可能性のある施策については、トップが賃金制度の見直し(41%)、次いで若手人材の積極採用(30%)、成果型人事制度の導入・推進(26%)と続いた。これも上記の結果同様、シニア社員を追いやる側面が強い施策といえ、企業担当者は、シニア社員を“お荷物”と捉えていることをうかがわせる。

もっとも、考えようによっては、しっかりと働いてくれるシニアを重用しようという姿勢ととることはできる。実際、シニア社員に蓄積されたスキルや実績は、企業にとって貴重な戦力であり、活かさない手はない。有効に活用した企業が、予想以上の成果を出している事例も報告され始めている。

いかにして、社員としてピークを過ぎた人材を有効に活用するか。成熟社会におけるこれからの働き方において、シニア活用も重要なテーマとなるだけに、企業の模索の先にある、多様性あふれる活力ある職場づくりに期待したいものである。

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