働き方

還暦社員の脂汗から生まれた新事業の中身とは

投稿日:2015年4月22日 / by 瓦版編集部

きっかけはトップとの瀬戸際面談

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(株)ユーエスエス
斧靖彦氏

還暦を過ぎた社員の扱いは、企業にとってこれからの重要課題だ。まさにその年齢の社員と真っ向から向き合い、その末に誕生したシニア層のためのサービスがある。(株)ユーエスエスの「move50’s」。50代のシニア社員が元気よく働くためのプログラムだ。瀬戸際の面談から生まれた新規事業には、60超社員の脂汗と尻をたたいた社長の熱い思いが詰まっている――。

突如訪れたトップとの緊迫面談

2014年5月下旬。ある企業の会議室で2人の男が神妙な顔でヒザを突き合わしている。

「これから何をする?」。「……」。

一人は60歳を過ぎたベテラン社員、もう一人は社長だ。ベテラン社員は何とも言えない空気の中で、全身に脂汗を垂らしていたかもしれない。これが噂の追い出し部屋か…。実はこれ、定年を控えたベテラン社員と社長の、新規事業開発へ向けた面談のワンシーン。それにしてもこのシチュエーション、社員にとっては随分と過酷だ。

「あの日のことは忘れたくても忘れられないですね」。そう振り返るのは、ユーエスエスの斧靖彦氏。御年61歳の最年長社員だ。「社長からはその時、100個の事業案を出すよう言われたのですが、情けないことに80個ほどしか出せませんでした」と斧氏は明かす。ゼロベースでの新規事業立案ということでハードルは高かったが、会社員として40年近く働いてきての現実に、さすがに目の前が真っ暗になった。

シニア人材を呼び出した社長の狙いとは

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シニア社員を呼びつけていきなり「これから何する?」と問いかけた與良社長

ベテラン社員を突然呼びつけ、100もの事業案提出を迫った與良剛社長。まるで鬼の様だが、もちろん愛のムチだ。「企業にとって、社員の高齢化は避けて通れない問題です。中堅中小の企業の場合、若手も採りづらく、シニア層の奮起が重要になります。確かに厳しい側面はありますが、ベテラン社員にしても、定年が伸びていく中で、やりがいがないと楽しくないし、それは会社にとってもプラスにならない。変わるきっかけを与えるための時間だったのです」と述懐する。

社員の高齢化にどう対処するか…。クビを切ってしまうのは、企業にとって最も簡単だ。社員にとっても収入面はともかく、最も楽な選択肢といえる。與良社長は、簡単な道を選択せず、あえていばらの道を選んだ。ベテラン社員に正面から向き合い、シニアになっても自律した社員として活躍できるようその背中を押した。とりわけ中小では、突然のリストラ宣告も珍しくない昨今にあって、同社のケースは、非常に良心的であり、今後を考えれば先鋭的でもある。

意外な顛末となった面談のエンディング

緊迫の新規事業開発面談。その顛末は、意外な形で終結する。最終的に斧氏は100案を出し、そこから絞り込んだアイディアで再提案。ところが、「それらの事業に半分の額でも自分で投資できるか」と問われ、斧氏は首をタテに触れなかった。その時、ふと気づいた。「60歳を超えてから何かをしようとすることはこんなに大変なのか…。あと10年でも若ければ全然違ったはずだ。これを伝え、何かきっかけを与えることを事業にしよう」。斧氏の思いがこもった提案は受理され、「move50’s」として形になった。

uss04「move50’s」は、50代の会社員を対象にした、元気よく働くためのプログラム。定年前にしっかりとセカンドステージを見据えられる自律した社員として、メンタルを軸にトレー二ングしていく。斧氏が実体験を赤裸々に語りながら、「仕事の仕方」を忘れたベテラン社員に仕事を振り返るきっかけを与え、行動計画に落とし込むまでを二人三脚でサポートしていく、同氏だからできる内容となっている。

「これがサラリーマンの性なのか、就職して30数年、振り返ってみても『何のために仕事をしてきたのか?』などと考える時間はありませんでした。特に目標もなく、日々受動的な仕事の仕方で過ごしてきたように思います。だから、面談で『これから何をする?』と問われた時、本当に困りました。私のようなシニア社員はたくさんいると思うので、少しでもそういう人たちにやりがいを与えられるよう、経験した全てを提供していきたいと思います」と斧氏は、力説した。

シニアによるシニアのための再生プログラム

プログラムは、2か月で4回のセミナーとその後4か月の目標設定の計6か月。最終的には、まとめた目標をプレゼンしてもらい、修了となる。受講者は、起業というゴールを設定するかもしれないし、転職という選択をするかもしれない。あるいは、もう一度心を改め、自律した社員として、会社に貢献する道を選ぶかもしれない。どの道を選択しても、受講者は、シニア社員が直面する問題にしっかりと向き合い、その中でどう動いていくべきなのか、が明確になる。

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社長の狙いはあくまでシニア人材の活性化。この2ショットが全てを表している

いまでは、斧氏の新事業の強力なサポーターとして、その活動を全面支援する與良社長は「各企業にいる斧の様な人材が、壁を越えてコミュニティをつくり、その輪が広がっていけばいいですね。シニア人材の問題は、日本の活力を考えても避けて通れない重要課題。社員だけでなく、経営者も変わっていかなければならない」と他企業の経営者の思いも代弁する。

40代は、年金受給年齢が65歳となることが確定しており、定年は70歳まで延長が既定路線になりつつある。それ以前に、会社の寿命が縮まっており、ある日突然、リストラ、ということも十分あり得る。会社員であることが安定ではなくなった時代に、企業が、そして従業員が、特に50歳以上のベテラン社員は、いまこれからでも「自律」を意識して仕事に取り組むことが、定年以降のステージをしょぼくれさせないための最低限のリスクヘッジとなる。そのことを肝に銘じ、仕事に取り組む必要がある。


店舗業務から本部業務までのトータルサポート 株式会社ユーエスエス【会社概要】
社名: 株式会社ユーエスエス( USS Co.,Ltd )
所在地: 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-12-1 ニッセイ虎ノ門ビル13階
設立年: 1975年4月
資本金: 5,000万円
役員構成:名誉会長 與良 博和
代表取締役社長:與良 剛
取締役兼常務執行役員:小榎 昇
取締役兼常務執行役員:鬼澤 宗裕
顧問:渋谷 實
社員数:64名(2014年4月現在)

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