働き方

低賃金の労働にも納得?会社が仕掛ける「やりがい搾取」に注意せよ

投稿日:2016年10月13日 / by

「働く楽しさ」だけを与えられていませんか?

あなたは自分の仕事に満足していますか? では報酬に満足していますか? 昨今は価値観の多様化で前者>後者でもよしという人も少なくないようです。とはいえ、不当に報酬が低いとそれは看過できません。いわゆる「やりがい搾取」だからです。「もしかしたら…」なんてのんきなことを言っている場合ではありません…。

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「やりがい搾取」とは、企業側が仕事のやりがいを報酬に置き換えて、従業員を安い給料で働かせるという意味だ。本来支払うべき対価を、「やりがい」というモチベーションで目を逸らす、性質の悪い人件費のダンピングだ。

「給料は低いけど仕事が楽しい」という状態は、労働者が満足しているので一見すると健康的な働き方にも見えるだろう。ただし、これはあくまでも企業側が従業員に対して、相応の賃金や休暇を十分に与えていればの話だ。中には仕事のやりがいや楽しさを盾に、従業員を不当に働かせている企業も多く、潜在的にブラック企業化しているケースは少なくない。

やりがい搾取が生まれやすい理由と環境

なぜこんなことがまかり通るのか。ひとつには経営者側が、労働者を上手く使えるよう仕事の中にやりがいを作り、巧妙に「仕事が楽しい」と思わせるように仕向けていることが挙げられるだろう。代表的な例を挙げると、労働者に技術や知識を与えたり、社内外の社会的な地位を約束したりすることが、仕事のやりがいに該当する。

長引く景気低迷で、雇われることの価値が相対的に上がっていることも背景にはあるだろう。労働者の給料を決める権利があるのは企業側。地域によって最低賃金が定められているものの、企業側が労働者を雇う際は、労働条件や給料を明確化したうえで、きちんと報酬を支払わなくてはならない。しかし労働者側に「自分の労働はこのくらいの価値がある」と正常な査定ができないと、企業側に提示された給料で納得せざるを得ない。働くことそのものを喜びとすれば、おのずと労働者は劣悪な職場環境でも喜んで働くようになる。

とりわけ日本は、滅私奉公や耐え忍ぶことが美徳とされる風潮が根強い。生活を犠牲にしてまで働くことを優先する人が多いため、やりがい搾取という構造が生まれやすい。とはいえ、いまは頑張りが報われる右肩上がりの時代ではない。頑張っても報われづらい不遇な時代だ。会社で働くにあたって、労働者は改めて「やりがい搾取」という言葉を意識し、注意を払うべきである。

労働者側のメリットも少なからず存在する

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搾取される側である以上、労働者のデメリットが目立つが、あながちそうとも言い切れない。

企業の中には、あえて仕事のやりがいや入社時の低賃金を強調したうえで、厳しい指導で労働者の育成を何よりも重視する職人気質の強い会社も存在する。働くうえで技術を身につけたい、その道で一人前になりたいと願うのであれば、あえてこういった企業を選ぶといった選択肢もあるだろう。世間的に厳しい目を向けられようとも、同じ目的を持った人間が集まれば、自然とよい職場環境となり得るからだ。

ただし、仕事をするうえで、最も多く対価を得ている人間は、仕事を与え管理する側の人間である。技術や知識を身につける過程で「労働者を使う側」に回らなければ、永久に搾取されつづけるという点を忘れてはならない。

お金を稼ぎたければ受け身で仕事をするよりも独自メソッドを生み出すことを意識せよ

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