働き方

アノ認知度抜群の胃腸薬が約半世紀ぶりに新タイプを投入する事情

投稿日:2017年3月15日 / by

クサくてよく効いたアノ胃腸薬に新タイプが登場

中高年ビジネスパーソンなら一度はお世話になっている胃腸薬「正露丸」。あの独特の臭いは、記憶としっかり結びつき、腹痛になれば思い出す人もいるかもしれない。発売から世紀を超えて存在する認知度抜群の製品だが、新タイプは1966年に糖衣錠「セイロガン糖衣」以来、実に51年も登場していない。

マーケティング部佐藤由佳氏と柴田社長(右)

2017年4月3日に発売される「正露丸クイックC」は、丸剤、錠剤タイプのみのラインナップに約50年ぶりに加わった新タイプだ。半世紀の間、決して順風満帆だったわけではないが、新タイプが世に出ることはなかった。その理由について、同社代表取締役社長の柴田高氏は次のように説明する。

「実は20年ほど前に一度ハードカプセルタイプにトライした。だが、独特の臭いを抑えることは難しく、断念した」。アノ臭いが、効き目を感じさせたものだが、技術の進化でもその封印は難しく、ギブアップ。半世紀にわたり、現状維持を強いられたわけだ。

もっとも、その間、正露丸は波乱万丈だった。根強い支持も、有効成分に対する疑義が発生。学校での常備も次第にフェードアウトし、シェアが減少。類似品との訴訟問題などもあり、取り巻く環境が激変する。ヘビーユーザーであるシニア層の通院頻度が高まると、薬品との併用が懸念され、大きくシェアを切り崩した。

51年ぶりの兄弟は大きく進化して誕生

一度は断念した新タイプ開発は、いよいよ尻に火がついた形で推進されたといえるだろう。新タイプに課された使命は、若年層の開拓。下痢になりやすく、止瀉薬未経験者が少ない層だからだ。課題は当然、アノ臭い。多様な製品が流通する昨今、アノ臭いは決してプラス要因とはいえない。最新技術を駆使し、可能な限り臭いは抑え込み、さらに即効性にもこだわった。

先進技術で生まれ変わったニュータイプ正露丸は、まさに大変身。元祖の面影はまるでない、クリアな見た目は、周りを気にせず摂取できる。何よりの驚きは、あの臭いがほぼ封印されていることだ。元祖は、飲む前後で、臭いが拡散し、周囲に気付かれる難点があったが、ほぼクリアされている。パッケージデザインも若者向けに洗練されたもので、シリーズ初の英字ロゴが採用されている。

元祖の面影はない、新タイプの正露丸

こだわりの即効性については、液体カプセル採用で素早く崩壊し、生薬「木クレオソート」が約6分で全て放出される。胃の中で早く血中に吸収されるため、腸内細菌のバランスにも影響を及ぼさないなど、従来タイプから大きく進化している。

前回から元祖誕生から半世紀以上のブランクを経て登場したニュータイプの正露丸。ビジネスパーソンなら、ほぼ会社員人生全てが歩めるロングスパンだが、遅すぎる“変身”かどうかは、ターゲットの若者を中心とする、市場が判定することになる。なお、スピード感ある、新CMは夏ごろにかけ、集中的に投下される。

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