働き方

“究極の高齢社会”でみえた、50年後も大事にすべきもの【瓦の目】

投稿日:2016年7月15日 / by

4割が高齢者になる時代を見据えて

44年後の2060年、内閣府の推計では65歳以上の高齢化率がほぼ4割に達する。5人いれば2人は65歳以上。自動車に1人は65歳以上が乗っているイメージか。その頃私は、65歳を若者とみる年齢に達しているので、感覚として高齢社会を自分事に感じないかもしれない。それどころかこの世にいないかもしれない…。
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先日、休暇を利用して、友人と泊まり旅に出た。目的はランニングの合宿だ。平均年齢は65歳。私は最年少。人数は15人だったので、高齢化率は、なんと93%。推計でいけば100年後くらいを先に言った感じだろうか。この究極の“高齢社会”、どんな感じだったのか。

端的にいえば、みな自分勝手。決め事をしても守らない。勝手に行動する。だからといって文句を言うわけでもない。結果的には、乱れることなく予定は消化されていく。生真面目な人間なら気が狂うかもしれない。でも、余計なことを考えなければ、これがなかなか心地いい。スクランブル交差点は、四方から人が反対方向へ歩くが、うまくかわしながら渡り切る。そんな感じなのかもしれない…。

勝手気ままなのに丸く収まる不思議な関係性

なぜこんな曲芸のような芸当が可能なのか。それは、各自マイペースだが、それぞれに経験値があり、どうすればうまく回るかを心得ているからだろう。勝手にみえて、ツボは抑えている。達人の極意のようなものを、各自がしっかりと持っているのだ。まるで居合抜きのようだ。皆が勝手知ったる仲間だから、というのも大きいだろう。

暴走老人という言葉ある。これは、全く違う価値観や年齢のコミュニティに老人が入り込んでしまった悲劇ではないだろうか。老人にとって、当たり前の行動が否定され、老人にとって大迷惑なことが当たり前のように行われる。マイペースを基準とする老人にとって、これほどのハイストレスな環境はない。その先に、大暴走があっても何ら不思議はない。

すでに高齢化はかなり進んでいるが、「年寄りが増える」とネガティブに考えるのではなく、知見豊富な先輩が増える。そう思えば、未来は明るいハズだ。ビジネスの現場での年功序列は事実上消滅したが、社会においては先輩を敬うという姿勢を大事にするーー。それが、未曽有の高齢社会に突入する日本が、絶対に譲ってはいけない“ルール”であり、高齢化をプラスに換える、当たり前だが絶対の策といえるだろう。シニアとの珍道中で、ふとそんなことを思った。

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