働き方

なぜ人は、なくても困らないものを発明するのか

投稿日:2016年10月17日 / by

変人・安田の境目コラム

必要は発明の母というけれど…

犬や猫などの動物にも、好奇心はあります。でも人間の好奇心はレベルが違います。食べられない物を、何とかして食べたいという好奇心。それが、料理を誕生させました。遠く離れた場所に行ってみたいという好奇心。それが、数々の移動手段を生み出しました。

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これまでに人間が生み出してきた、数限りない発明。テレビ、電話、パソコン、洗濯機、音楽、映画、スポーツ、酒、マンガ、ゲーム、プラモデル、遊園地、食器、テーブル、シャンデリア…などなど。

人は何のために、発明するのでしょう。生きるため。生活を楽にするため。確かにそういう発明もあります。たとえば洗濯機や掃除機などは、かなりの労働時間を短縮してくれました。

では、マンガや、ゲームや、酒や、スポーツはどうでしょう?無くても生きていけるし、あったからと言って生活が楽になるわけでもありません。単なる娯楽。でもあれば楽しい。やはり発明の根幹は、好奇心ではないでしょうか。

人間は頭が良いから、好奇心が生まれたのか。あるいは、好奇心が強いから、頭が良くなったのか。私は後者だと思います。科学も、発明も、娯楽も、文明も、全ては好奇心から始まったのです。

見ずにはいられない、知らずにはいられない、行かずにはいられない、やらずにはいられない、強烈な好奇心。それこそが人間の本質ではないでしょうか。

人間を動かすのは純粋な好奇心

なぜ山に登るのか。そこに山があるから。なぜ料理をするのか。そこに食材があるから。なぜ切手やコインを集めるのか。そこに切手やコインがあるから。なぜ宇宙にまで行くのか。そこに宇宙があるから。他に理由などないのです。

人間の好奇心は、自転車を生み出し、自動車を生み出し、飛行機を生み出し、ついに宇宙ロケットまで生み出してしまいました。どこまで行っても、何を手に入れても、私たち人間の好奇心は尽きないのです。

では、好奇心は、欲望と同じなのでしょうか。もっとお金が欲しい、もっと豊かになりたい、自分の持ち物にしたい、という欲望。欲望が尽きないから、好奇心も尽きないのでしょうか。

私は違うと思っています。本来の好奇心は、もっと純粋だったはずです。足ることを知ることは重要ですが、好奇心は持ち続けるべきです。それは本来、相反するものではないのです。

知りたい、体験したい、という純粋なエネルギー。それが人間を動かしているのです。お金のためではなく、生活のためでもなく、好奇心を満たすために、行動する。それが本来の人間の生き方なのではないでしょうか。純粋な好奇心を失った時、人類は進化の終焉を迎えるのかもしれません。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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