働き方

なぜ、信じる者は救われるのか

投稿日:2017年3月21日 / by

自分は本当に社長だったのか…

どこまでが現実で、どこからが幻想なのか。私も時々、分からなくなってしまいます。ワイキューブという会社は現実だったのか。自分は本当に社長だったのか。ラスベガスには行ったのか。本当に何十億円も使ったのか。

まあ、もちろん現実なんですけど。会社は存在したし、自分は社長だったし、ラスベガスには3回も行ったし、46億円全部使い果たしたし…。

私は決して、現実逃避しているわけではないのです。ただ、現実味がないなぁ、と感じるだけ。特に社長であったときの自分に、全く現実味を感じないのです。

多分、あれは幻想だったのです。確かに法律的には、株主であったし、代表取締役でもありました。でも、私が持っていた権力や、組織の中での発言力、世間的に認められていた肩書きなど、それらは単なる幻想だったのです。

幻想と現実の境目には何があるのか

幻想と現実。その境目はどこにあるのでしょうか。私自身の実体験から語らせていただくなら、その境目は、2つの思い込みによって作られています。

まずひとつは、周りの人間の思い込みです。安田さんは株主である。安田さんは代表取締役社長でもある。安田さんには権力がある。安田さんには従わねばならない。という思い込み。

もうひとつは、自分自身の思い込みです。私は株主である。私は代表取締役社長である。私には権力がある。私の言うことは尊重されなくてはならない。という思い込み。

自分自身の思い込みと、周りの人間の思い込み。それが強烈な時には、幻想が現実になります。でも思い込みが弱くなると、幻想は現実味を失くしてしまうのです。

現実の正体が幻想、とはどういうことなのか…

つまり、本当のことを言うと、全ては幻想なのです。幻想という壮大な平原の上に建つ、小さな家。それが現実というものの正体なのです。家には住めるし、壁や床に触れることも出来る。だからそれは紛れもない現実。に、見えてしまう。感じてしまう。でもその家を支える地面は、実際には存在していないのです。

お金も、権力も、権利も、自由も、名誉も、全ては幻想。自分自身と、周りの人間が、記憶を失くしてしまった瞬間に、消滅してしまうもの。でもその幻想こそが、最大の社会的価値なのです。自分自身を、強烈に信じる力。周りの人間を、強烈に信じ込ませる力。全ての現実は、そこから生まれて来るのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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