働き方

私が52歳で人生カウントダウンを強く意識する理由

投稿日:2017年5月1日 / by

死を意識するのに早すぎることはない

私はもう52歳です。残り時間はカウントダウンに入っています。まだ早いよ、なんて言う人もいますが、それは鈍感過ぎると思うのです。

友人が事故で亡くなる。病気になって、死を宣告される。そういう事があると、人は死を意識します。でもそういうことが無い限り、人は死を意識しません。

私はきちんと死を意識して、生きていきたいのです。それは別に、覚悟とか、悟りとか、そういうものではありません。あくまでも、自覚の問題なのです。

人は必ず死ぬ。私も必ず死ぬ。残された時間はもう長くない。観られる映画の数も、読める本の数も、食べられる晩御飯の数も、限られているのです。

そんなことを意識するのは、まだ早すぎる。そう言われる度に「違うんだよなぁ」と思います。彼らが言いたいのは、<まだまだ安田は死なない、まだ大丈夫だよ>、ということ。でも私が言いたいのは、そこではない。私だって別に、早死にしたいわけではありません。私はただ、ちゃんと生きていきたい、だけなのです。残り少ない人生を、ちゃんと生きていきたい。

でも私が「残り少ない人生を・・・」と言った瞬間に、相手は「まだまだ、大丈夫ですよ!」と遮ります。「いやそうじゃなくて、短いからこそ・・・」と続けても、「大丈夫です!安田さんみたいな人は、長生きしますから」などと、訳の分からないことを言うのです。

残り少ないからこそ大切にする

長いかどうか。それは平均寿命との比較。そんなものは、この際どうでもいいのです。私は残された時間を大切にしたいだけ。意識して、命を削って、生きていきたいだけ。

私は友達の数を8人と決めています。なぜ8人なのかは、どうでもいい話なのです。友人と話せる時間も、食事をする回数も、限られている。残された回数券を、無作為には使いたくないだけなのです。

私の趣味は晩御飯です。美味しい食事をし、美味しいお酒を飲むこと。食べる回数も、飲む回数も、残りは決まっています。正確には決まっていないけれども、有限であることに変りはないのです。

映画も、旅行も、読書も、それぞれの回数券があります。映画を観る度、旅行に行く度、読書をする度、その回数券がひとつずつ減っていく。それは命の回数券。人は命を削りながら生きているのです。

年に何百冊も本を読むよりも、命を削るに値する本だけを読みたい。とりあえず空腹を満たすのではなく、命を削って作ってくれた料理だけを味わいたい。

限られているからこそ、人は物を大切にします。限られているからこそ、人は人を大切にします。私は自分の大好きなものを、大切にしながら生きていきたいのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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