働き方

80歳を過ぎてフリーライターで活躍することを決めた理由

投稿日:2017年5月4日 / by

余命20年と定めて、乾坤一擲のWebライティング

Webライターの裾野はどんどん広がり、中には10代の学生ライターも活躍しています。逆に、雑誌全盛期にライターや編集者として活躍した、ベテランたちも腕を奮っています。そして遂に、メディア史上最高齢のライターさんが登場--。超大ベテランライターの島村泰治氏。傘寿=80歳を過ぎ、なお現役の姿には身が引き締まります。(powered by THE LANCER編集部)

傘寿を迎えたベテランライターは、余命20年の集大成を捧げる

「現役時代は」、などという言葉が口に出るような、そんな世捨て人たちの会話にやや慣れ始めていた時期、一年余前のこと、自分ではまだまだ「やれることがある」という意識をめらめらと感じていた頃に、私は『ランサーズ』という得体の知れぬ(ご無礼)ものを見知ったのだ。

折しも、台湾の知己が台湾のゆるキャラの愛称を『ランサーズ』上で募集して、「タイワンダー」という素敵なネーミングを拾った、と嬉々として知らせてきたことから話が始まる。

「そのランサーズとは何者か」ということから、このユニークな仕事環境を知るに至った、というわけだ。強気ではあってもすでに八十翁、浮世離れは済ませたものと思い込んでいたところに、走り回らずとも済む仕事環境を見つけた感興は、大方の想像を超えるものだった。

母親を百歳まであと一歳で失って、「三桁はクリアすべし」とわが身に諭して二十年の余生を送るアジェンダを組んだ矢先のことだった。

80歳を過ぎてWebライターは珍獣の部類か

在宅で思うさま働ける場などは妄想か、とも思えたが、あれこれ試みてみると、この『ランサーズ』という仕事環境は只ならぬものだと、はっと気づいたのだ。物書きならお手のものだ。和英の両刀が操れる。心あるクライアントは向こう側に群れている。思いの外、Win-Win の仕事ができるかも知れない。

『THE LANCER』の誌面で、仲間たちの生きのいい話を読むにつけ、この歳でおこがましいとお叱りを受けるやも知れないが、この環境ならまだ一肌も二肌も脱げそうだという実感がとても強い。

また歳の話で恐縮だが、この歳で『ランサーズ』に住みつくのは珍獣の部類ではなかろうか。いや、上には上でまだまだ「先住者」がおられるやも知れぬが、自意識としては、自分は相当に珍しい存在ではあろうと思う。

その「rareness」を売り物にする気は毛頭ないが、積み上げた年の功に傘寿の知恵をまぶして、世にも稀な仕事ができれば、世間様への恩返しもさることながら、わが余生に花を咲かせることの愉快が大きかろうと、いま、一念発起しているところなのだ。

タイプライター時代の生き残りライター

だが、このインターネットという、敢えて言わせていただくが「仮想社会」に住み着くまでには、私は幾山河、未踏の難所を幾度となく越えてきている。まず、DOSの世界は闇に思えた。

Macを薦められ「Puppy Dog」の面白さに惹かれて迷い込んだパソコンの世界、幸い英語だらけの仕事環境だったことから、タイプライターの技術が生きて英語入力にはなんの苦もなかったが、こと日本語変換になると日々是悪戦苦闘だった。

ご存知の方はおられようか、「SweetJam」という疑似変換ソフト?漢字Talk以前の日本語変換「ソフト」なのだが、変換というか、すり替えというか、細かいことは忘れ果てたが、何とも奇態な代物だった。今にして思うに、技術バカの私がよくまあ今日まで「survive」できたものよ、と感慨に耽るのだ。

長寿の秘訣は、ランサーズでの仕事にあり!?

私は無類の落語好きだ。志ん生よし文楽よし、圓遊の洒脱も捨てがたい。それが、である。『ランサーズ』で某クライアントの委嘱でアメリカのリベラル・アーツ大学の紹介を請け負ってまとめた仕事があり、そのひとつ 、バーモント州のMiddlebury College になんと落研があるのを知った。

小咄を操る本格的なもので、これからの文化交流が向かう方向を示唆して面白い。私はじつは徒然草の傍ら、古典落語の名作をまともな英訳で再生させる企画を密かに温めている。

そんな折、ほかならぬ『ランサーズ』上で、請け負った仕事を介してそんな話を知ったことからも『ランサーズ』との只ならぬ縁を感じている。

誠意溢れる仕事を介して、心あるクライアントとのご縁あれかし、と願うことしきりである。

▽フリーランスの情報発信メディア「THE LANCER」より転載

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